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家の住宅ローンが残ったまま離婚、
どんな手続きが必要?

離婚と住宅ローン:基本的な考え方

離婚時に住宅ローンの支払いが終わっていない場合、一般的には自宅を売却してローンを一括返済し、残金を分与するケースが多いです。

また、住宅ローンが残っていても離婚は可能ですが、財産分与でトラブルになる可能性があります。

マイナスの財産としての住宅ローン

住宅ローンはマイナスの財産となります。

つまり、離婚時にはプラスの財産同様に住宅ローンもマイナスの財産として2人で分担する、ということが基本的な考え方になります。

また、住宅ローンの借入残高も「マイナスの財産」として財産分与の対象になります。

財産分与の対象となる住宅ローン

住宅ローンも財産分与の対象となります。

不動産の財産分与を行うにあたり、住宅ローンを組んでいた時には、売却額からローン残額を控除した金額が対象財産となります。

また、住宅ローンの残高が不動産価格を上回ってしまった場合のことをオーバーローンといいます。この場合、財産分与はさらに難しくなります。

住宅ローンの名義人と連帯保証人

住宅ローンの名義人(主たる債務者)と連帯保証人は、住宅ローンを支払う責任を共有します。

名義人が住宅ローンを支払えなくなった時に、その残債務全額について支払い義務を負うという点では、連帯保証人に違いはありません。

名義人に支払い義務がある

名義人には住宅ローンの支払い義務があります。

もし名義人がローン支払いを怠れば、連帯保証人に返済義務が課せられます。

連帯保証人の変更は困難

連帯保証人の変更は、原則として困難です。

金融機関の承諾がなければ、一度設定された連帯保証人を変更することはほとんど認められません。

また、連帯保証人が一度でも住宅ローンの返済を行うと、その契約を認めたとみなされ、以降の変更はさらに難しくなります。

これは、連帯保証人が住宅ローンの残債全額に対する返済義務を負うためです​​​​。

 

2020年の民法改正により、保証制度、特に連帯保証人に関する規定に変更が加えられました。

この改正の主な目的は、自らが債務者でないにもかかわらず債務を背負うリスクがある連帯保証人を保護することです。

しかし、この法改正によっても、連帯保証人の変更が容易になったわけではありません。

 

住宅ローンに連帯保証人を設定する際には、このような厳しい条件と責任を理解し、慎重に決定する必要があります。

特に、契約後の変更が困難であることを認識しておくことが重要です。

ペアローン(共同債務者)の場合

ペアローンは、夫婦や親子などがそれぞれ独立して住宅ローンを組む制度です。

この制度の大きな特徴は、各個人の年収に基づいて融資が行われる点にあります。

結果として、一人だけでローンを組む場合に比べ、高額な借入が可能になることがあります。

 

ペアローンを利用することで、各契約者が住宅ローン控除の恩恵を受ける可能性があります。

ただし、住宅ローン控除を受けるためには、一定の条件を満たす必要があります。

例えば、控除を適用する年の合計所得が2,000万円以下であることなどが条件として挙げられます。

 

ペアローンには、単独でのローン契約に比べて融資の柔軟性が高いメリットがあります。

しかし、契約内容や将来の計画について慎重な検討が求められます。夫婦や親子間での合意形成と、将来にわたる財務計画の両方が重要となります。

住宅ローンの分担方法:ケース別の対応

夫婦どちらも住まない場合の対処法

離婚によりどちらのパートナーも住宅に住まない選択をした場合、最悪のシナリオとして、家が競売にかけられる可能性があります。

この状況を避けるため、不動産の売却を含む任意売却の選択肢を検討することが重要です。

 

住宅ローンの残額が売却時の利益を下回る場合(アンダーローン)、不動産を売却し、その利益をローンの返済に充てることが可能です。

逆に、売却利益よりも住宅ローンの残額が多い場合(オーバーローン)では、通常の売却手続きが困難になります。

 

この場合、任意売却が有効な解決策となる可能性があります。

任意売却では、債権者の合意を得て、住宅ローンが残ったまま不動産を売却することができます。

一方が住み続ける場合の手続き

離婚後に夫または妻が住宅に住み続けることを選択した場合、いくつかの重要な点があります。

 

例えば、妻が子どもと共に家に住み続けたい場合、住宅ローンの名義や支払いに関して注意すべき点があります。

生活環境を変えずに済むという点や、経済的な負担が軽減されるというメリットがあります。

 

しかし、住宅ローンの名義が元夫のままの場合、元夫による家の売却リスクや住宅ローンの支払いを請求される可能性があるデメリットもあります。

 

そのため、家の名義を元妻に変更し、住宅ローンを元妻の名義で借り換えることが考えられます。

しかし、この方法には金融機関の審査が必要であり、元妻に安定した収入がある場合に限定されます。

 

万が一金融機関が承諾しない場合、住宅ローン完済後に名義を変更することを合意し、公正証書に残すことが有効な対策です。

 

また、公正証書の作成は、元夫が住宅ローンの支払いを続ける場合、元夫自身が住んでいない家のローンの支払いを保証するために必要です。

公正証書は、後で言った・言わないの争いを避けるために有効な手段です。

しかし、公正証書に「元夫が住宅ローンを支払う」とのみ記載しても強制執行ができないため、元夫が住宅ローンの返済に相当する金額を元妻に支払い、元妻が金融機関に支払うという約束が必要です。

離婚時の住宅ローン対応:分割方法と必要手続きの解説

離婚において住宅ローンが残っている場合、自宅売却でローン返済を行うことが一般的ですが、財産分与のトラブルも起こり得ます。

 

住宅ローンは債務者と連帯保証人が責任を負うマイナスの財産とみなされ、ペアローンの場合は共同債務者がそれぞれ主債務者となります。

離婚後の住宅ローンの対応としては、共有名義の不動産を任意売却するか、一方が住み続ける場合は名義変更と借り換えが必要です。

その際、公正証書を作成し、支払い責任を明確にすることが重要です。

まとめ

– 離婚時に住宅ローンが残っている場合、自宅を売却してローンを返済し、残金を分与するのが一般的です。

– 住宅ローンはマイナスの財産として考えられ、財産分与の対象になります。オーバーローンの場合、財産分与は難しくなります。

– 住宅ローンの名義人と連帯保証人は支払い責任を共有し、名義人変更は一定の条件下でのみ可能です。

– ペアローンの場合、夫婦や親子それぞれが主債務者となり、共有名義の不動産を持つことができます。

– 離婚後に一方が住宅に住み続ける場合、名義変更と借り換えが必要です。公正証書の作成で支払い責任を明確にすることが重要です。