不動産を売却するときは、いくつか種類があります。一般売却・競売・任意売却、それぞれの売却方法について、住宅ローンを滞納している場合の売却までの流れを紹介していきます。
一般売却で売る
一般売却とは、家の売却益と貯金によって住宅ローンを一括返済できる方のみが選べる売却方法です。
住宅ローンを2ヶ月滞納すると、督促状や催促状が届きますが、まだこの段階であれば、差し押さえなどの大きな問題には発展しません。
今後の住宅ローン返済が困難だと判明しているなら、滞納分について金融機関への相談後、ローン返済を済ませ、一般売却の準備を行うのが得策です。
一般売却の流れについて紹介します。
複数の不動産会社に見積もりを出す
1社のみだと、低い売却金額の見積書を提示される可能性があるため、なるべく複数の不動産会社に査定をしてもらい、見積もりを出してもらうのがおすすめ。
売却価格が低い方が早く買主が見つかる可能性が高くなるため、不動産会社は売却額を低めに見積もることがあります。売却益で住宅ローンが完済しきれるよう、なるべく高い金額で売却したいことをしっかりと伝えましょう。
契約を結ぶ
一般売却の契約には、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任契約の3種類があります。
一般媒介契約とは、複数の不動産会社と契約を結ぶこと。一方で専任媒介契約は一般媒介契約とは異なり、不動産会社1社のみと契約を結ぶことを指します。
専属媒介契約も1社のみと契約を結びますが、持ち主が自分で買い手を見つける取引が禁止されているのが専任媒介契約との違いです。
それぞれに特徴があるため、不動産会社と相談しながら決めていきましょう。
不動産の引き渡し
無事買い手が見つかったら、買主へ鍵を渡せば引き渡し完了となります。この際に司法書士が立ち会い、所有権移転と抵当権の抹消を行います。
競売で売る
競売とは、金融機関が強制的に担保物件を売却して、住宅ローンの残債に充てることを指します。
競売では売却価格が低くなるため返済金額に届かないことが多く、残った住宅ローンは一括での返済を求められます。支払先が金融機関から保証会社へ変わるだけで、当然ながら支払い義務はなくなりません。期限の利益(約束した期日までに返済すれば良い権利)もなくなるため、分割での支払いもできなくなります。
競売の流れについて紹介します。
代位弁済通知書が届く
住宅ローンを3ヶ月~6ヶ月滞納すると期限の利益がなくなるため、銀行から一括で住宅ローンの返済を要求されます。その要求に対応できない場合、保証会社が金融機関に住宅ローンの残額と利息分を一括で返済し、その旨を伝える「代位弁済通知書」が届きます。
この通知が届くとローンの返済先は保証会社に変更され、分割での返済は不可となるため、保証会社への一括返済が求められます。
金融機関が競売の申し立てを行う
一括返済ができなかった場合、保証会社は住宅ローンの回収を強制的に行うため、競売の申し立てを裁判所に行い、受理されたのち「競売開始通知」が届きます。この時点で債務者は初めて競売に掛けられてしまったことを知ることになるのです。
競売の執行・立ち退き
債権者に競売を取り下げて貰わない限り、競売は執行されてしまいます。現況調査と呼ばれる裁判所による調査が行われ、期間入札の後に開札となり、最も高い額で入札した者が買受人に。買受人の入金が完了すると、債務者は立ち退きとなります。
競売が開始されてから買受人が決まり、立ち退きとなるまでには最低6ヶ月は期間があります。競売を回避したいなら、この間に任意売却などの債権者へのローン返済方法を提示し、競売を取り下げて貰うよう交渉しましょう。
任意売却で売る
立ち退きを強いられる競売と違い、住宅ローンの残債が残っている場合でも、ある程度は持ち主の希望条件で売却ができる方法が任意売却です。
任意売却とは、債権者の了承を得たうえで、所有者がある程度の希望条件で一般市場において不動産を売却することを指します。
任意売却を成功させるには、金融機関に相談して了承を得ることはもちろんですが、専門的な知識と経験を持つ不動産会社に依頼するのが肝要です。
今回は、東京・大阪・滋賀を拠点に全国各地の任意売却相談に対応しているE.C.エンタープライズの具体的な流れを紹介します。
金融機関からの督促
住宅ローンを滞納すると、金融機関から督促状の通知や電話がかかってきます。
メールやお電話での相談
住宅ローンを滞納している、滞納しそう、督促状が届いた方は、経験豊富な相談員へ相談しましょう。E.C.エンタープライズでは相談回数が何度でも無料です。
個別面談
プライベートな内容なので、しっかりと面談して、今後について話しをします。
不動産価格の査定
売却する住宅の査定を行います。価格査定を誤ると必要以上に住宅ローンが残ることがあるため、適切な価格査定が必要になります。
金融機関との交渉
金融機関との任意売却に向けた交渉が必要です。すべての債権者が納得しない限り、任意売却はできません。売却価格の調整などをして、協議、調整を行っていきます。
専門家との調整
専門知識が豊富なスタッフが代わりに交渉します。
売却活動
通常の住宅と同様に、物件紹介サイトなどに掲載し、買主を探します。閲覧が始まる前に自宅を掃除しておくことが大切です。
決済
買主が見つかり次第、売買契約を締結します。
任意売却の後、もし同じ家に住み続けたいのであれば、リースバックを組み合わせることを検討しましょう。
リースバックとは、任意売却で売却した自宅の買主と賃借契約を結ぶことで、引っ越す必要なく同じ家に住み続けることができるという形式です。売却益によってまとまった資金が調達できるため、住宅ローン以外の返済にも充てられ、希望によっては自宅を再度買い戻すこともできる、とてもメリットの大きい手法ですので、任意売却際に相談してみて下さい。
競売と任意売却、どちらが良いの?
メリットが多いのは、競売よりも断然、任意売却です。
不動産を売却したお金は、残っている住宅ローンの返済に充てられるため、残高を多く減らすためには、売却価格が高い方が有利。
任意売却では市場に近い価格で売却することができますが、競売では相場の約60%~70%の価格になるため、売却額は安くなってしまいます。
また、売却益が少なく住宅ローンが残ってしまった場合も、任意売却なら分割返済の交渉ができます。競売だと残ってしまった住宅ローンは一括返済を求められるため、応じることができないと自己破産してしまうこともあるのです。
さらに、任意売却とリースバックの組み合わせなら自宅に住み続けることもできるため、選択肢が広がり心の負担も少なくなります。
このように、住宅ローンを滞納してもさまざまな売却手段がありますが、いずれにせよ滞納が嵩む前に早めに行動することが重要。住宅ローンの返済に不安を覚える方は、専門家に相談してみてください。