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住宅ローンを滞納して払えもしない一括請求が来る理由とは?

住宅ローンの滞納が続いたら一括請求される?

なぜ一括支払いしなければならないのか

「なぜ一括支払いしなければならないのか」ということを知るために、まず「なぜ分割払いが認められているのか」ということを考えてみましょう。

 

金融機関の立場から見れば、分割払いを認めることにはリスクがあります。債務者の現状を見る限りでは収入が安定的でも、その状態がいつまでも続くとは限らないからです。たとえば、分割払いをしている途中に債務者が失職するかもしれません。あるいは、分割払いをしている途中に債務者が病気で倒れ、返済が難しくなるかもしれません。

金融機関がそれらの返済リスクを承知し、その上であえて融資を行う理由は、「この人なら必ず借金を完済してくれるだろう」という信用があるから。住宅ローンを申し込んだ人の勤務先、収入、過去の借入返済状況などの様々な要素を調査し、「この人なら信用できる」という前提が生まれたからこそ、金融機関は分割払いを承認するのです。

逆に言えば、その信用が崩れてしまえば、分割払いを承認し続ける前提がなくなります。信用が崩れる理由にはいくつかありますが、住宅ローンにおける代表的な理由の一つが「継続的な滞納」です。

 

滞納が続いている債務者に対し、金融機関は督促状や催告書を送って返済を促しますが、それでも返済がなされない場合には、最終的に「期限の利益の喪失」を通知します。この通知をもって債務者は分割払いの権利を失います。

住宅ローンを返済途中で一括払いしなければならなくなる理由は、金融機関が債務者を信用できなくなったからにほかなりません。

 

「期限の利益の喪失」とは

期限の利益とは、債権者から債務者に対して与えられる権利で、本来一括で払わなければならない借金を複数回に分けて払うことのできる権利を指します。

この期限の利益は、上述した通り、継続的な対応などで債務者の信用が失われた場合、金融機関の判断で消滅することがあります。期限の利益が消滅すれば、債務者の分割払いの権利が消滅するため、借金の残債を一括で支払わなければなりません。

 

期限の利益を喪失する前後において、まずは継続して3~6ヶ月の滞納が続いた頃に、債権者(債権回収事業者など)から「期限の利益の喪失予告」に関する通知が届きます。通知の主な記載内容は次の通りです。

 

・再三の督促にも関わらず長期にわたり滞納が続いていること

・遅延金を○年○月○日まで入金してほしいこと

・期日までに遅延金と利息が入金されない場合には期限の利益が喪失すること

・期限の利益が喪失した場合、一括返済請求を行うこと(期限の利益の喪失)

・期限の利益が喪失した場合には対象不動産の競売手続きが開始されること

・競売で得た資金で残債を全額返済することは難しいこと(競売が成立しても借金は残る可能性が高い)

 

この通知が届いてもなお滞納の解消に向けた債務者の動きがなければ、滞納が始まってから7~8ヶ月後を目安に、期限の利益が喪失した内容の通知と一括請求書、さらには後述する代位弁済通知書が債務者のもとへ届きます。

 

継続滞納でなくても一括請求される?

一般的に、期限の利益を喪失して一括返済を余儀なくされるタイミングは、「滞納が始まってから6ヶ月後」「合計で6ヶ月分の滞納がたまったとき」などと言われています。

この「6ヶ月の滞納」という基準は、実務現場の感覚で言えば「6ヶ月にわたり継続して滞納した場合」となるでしょう。滞納が始まり、以後6ヶ月連続して滞納が続いた場合に期限の利益が失われ、一括請求されるという感覚です。

しかし、中には「先月滞納してまだ返済していないが、今月分だけは返済した」という具合に、過去の未返済分を抱えながら今月分を返済したり、翌月分は滞納したりという状況を繰り返している人がいます。このパターンの場合、たとえ6ヶ月連続で滞納しなくても、または、たとえ合計6ヶ月分の滞納がたまっていなくても、金融機関から一括請求がなされることがあるので要注意です。

債務者本人にとってみれば、「滞納分があっても時々返済して前向きな意志を見せているのだから、その分を考慮してほしい」という思いになるかもしれませんが、実務的には一括返済を要求されるケースが少なくありません。

なお、この例のように「遅れて払って、また遅れて払って…」を繰り返しながら徐々に滞納分が増えていく人の場合、最初に遅れた月から約1年後に期限の利益を喪失し、一括請求されるケースが多いようです。

 

いずれの状況であっても、期限の利益の喪失は、何の前触れもなく通知されるわけではありません。金融機関から督促状や催告書などが届き、滞納分の入金がなければ期限の利益を喪失する可能性があることは事前に知らされます。これらの通知の期間中に滞納分を埋めることができれば、期限の利益を喪失することは無いのです。

 

一括返済できないとどうなる?

期限の利益を喪失する段階ともなれば、殆どの人が一括返済できる経済的余力は残っていないでしょう。仮に一括返済ができなければ、以後は次のような流れとなります。

 

「代位弁済通知」が届く

滞納が始まってから7~8ヶ月たった頃、保証会社から「代位弁済通知」が届きます。「代位弁済通知」とは、「あなたに代わって当社(保証会社)が金融機関に一括返済しました」という通知です。

この段階において、ローンの債権者は金融機関ではなく保証会社に代わっていますが、債務者に課されている一括返済の必要は消滅しません。以後は、保証会社から一括返済の督促を受けることとなります。

 

 

債権者によって競売申し立てがされる

保証会社による代位弁済から約半月~1ヶ月後(滞納が始まってから7ヶ月半~9ヶ月後)、保証会社による地方裁判所へ競売の申し立てが行われます。この申し立てまでに債務者が保証会社へ残債を一括返済できれば良いのですが、大半の場合は困難でしょう。

 

 

執行官が現地調査に訪れる

債権者による競売申し立てが行われてから約1ヶ月後(滞納が始まってから約9ヶ月後)、裁判所から「競売開始決定通知書」が届きます。競売開始決定通知書とは、「債権者からの申し立てにより、あなたの不動産を競売にかけることにしました」という内容の通知です。

この通知からほどなく裁判所から現況調査通知が届き、通知に記載された日時に裁判所の執行官や不動産鑑定士が債務者の自宅を訪れ、様々な現況調査(現地調査)を行います。現況調査の内容は、債務者本人やその家族、近隣住民への聞き取り、周辺環境や周辺道路の調査、不動産の外観・内観の撮影などです。

 

なお、債務者には現況調査を拒否する権利がありません。当日、不在にしたり居留守を使ったりしたとしても、強制的に調査が行われます。

 

期間入札通知書が届く

現況調査が行われてから約1~2ヶ月後(滞納が始まってから約11~13ヶ月後)、裁判所から「期間入札通知書」が届きます。期間入札通知書とは、競売が始まる日から終わる日までの日程や入札開札日が記載された通知のこと。債務者側から見れば、「間もなく自宅が競売にかけられます」というお知らせでもあります。

なお、競売物件の所在地などの情報はインターネット上で公開されるため、自宅が競売にかけられていることを近隣住民に知られる可能性があります。

 

 

競売成立によって競落、強制退去に

入札開札日から約1週間後、裁判所が売却許可決定を下します。この決定の後、入札者が購入代金を入金して所定の手続きを行えば、所有権が債務者から入札者へと移転します。債務者は、所有権移転日までの間に自宅を明け渡さなければなりません(強制退去)。

 

一括返済できない・競売も避けたい人がすべきこと

住宅ローンの滞納が続けば一括返済しなければならなくなること、一括返済ができなければ自宅が競売にかけられることなどについて詳しく解説しました。

 

住宅ローンの滞納が続いている状況である以上、一括返済することはほぼ不可能でしょう。とはいえ、競売にかけられれば相場の50~70%の価格で売買されることが大半なので、残債を減らすことはできたとしてもゼロにすることは難しいのです。

 

一括返済や競売が差し迫る中、少しでも有利な条件で自宅を売却するために、債権者の許可を得たうえで一般市場で売却ができる「任意売却」という方法を検討してみてはいかがでしょうか。

任意売却を選択すれば、住宅ローンを一括返済する悩みから解放されるだけでなく、相場に近い価格で不動産を売却することができます。たとえ残債をゼロにすることができなくても、競売に比べれば、のちの返済はかなり楽になることでしょう。買主との交渉にもよりますが、任意売却後、そのまま自宅に住み続けることも可能です。

 

当社ECエンタープライズは、住宅ローンの滞納にお困りのお客様に向け、任意売却の仲介を行っている専門企業です。これまで数々のお客様の任意売却を仲介させていただき、一刻も早く普段の生活を取り戻すためのサポートを続けてきました。

任意売却を成立させるためには、ある程度の時間が必要ですが、期限の利益の喪失をした後でもまだ間に合います。家賃の滞納や一括返済などでお困りの方は、ぜひ当社ECエンタープライズまで、お気軽にご相談ください。