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任意売却のメリット・デメリットは
競売や通常の売却とどう違う?

住宅ローンの返済が難しくなった際の対応策には、任意売却や競売、自己破産などのいくつかの方法があります。

いずれの方法も一長一短があり、どの方法が最適かはケースによって異なります。

 

ここでは、任意売却と他の方法を比較しながら、任意売却のメリット・デメリットについて詳しく解説しています。

 

任意売却を他の選択肢と比較したメリット・デメリット

住宅ローンの返済が難しくなった時、その対応策としていくつかの選択肢があります。

その1つが任意売却となりますが、他にも自己破産や競売、通常の不動産売却、任意整理、個人再生などの選択肢も考えられます。

 

ここでは、それぞれの選択肢の概要やメリット・デメリット、任意売却との違いなどを確認してみましょう。

 

 自己破産

自己破産とは、債務者が抱えているすべての借金を法的にゼロにする措置を言います。

裁判所から自己破産を認められれば、住宅ローンはもちろんのこと、自動車ローンやキャッシングなど、あらゆる借金がすべて帳消しとなります。

 

自己破産のメリットは、何より借金から完全に解放されること。

返済義務がなくなるため、以後は督促状や取り立ての電話なども入らなくなります。人生を一からやり直せるような明るい気持ちに切り替わることでしょう。

 

一方で、自己破産をしたという方法は、氏名や住所も含めてすべて官報に掲載されます。巡り巡って職場や近隣にその情報が知られてしまうかも知れません。

また、任意売却をした場合も同様ですが、いわゆるブラックリストに載ることから、一定期間は新たな借金やクレジットカードの新規契約ができない点もデメリットです。

 

任意売却の場合、借金が超消しになることはありませんが、官報等から個人情報が公開されることもありません。

周囲から見れば、通常の不動産売却と同じように見えることでしょう。

 

競売

競売とは、債権者の請求に基づいて裁判所が強制的に住宅等の売却手続きに入ることを言います。

競売が成立した場合、以後は原則としてその家に住み続けることができず、退去を余儀なくされます。

 

また、競売による売却代金は債権者への返済に充てられますが、競売価格は相場より3割ほど安くなる傾向があることから、少なからず残債が残ってしまう形となるでしょう。

自己破産とは違って借金が帳消しになるわけではないので、残債の返済義務は続きます。

 

一方で任意売却の場合、あくまでも債務者と債権者との交渉による民間取引となるため、法令や裁判所の命令による強制力は働きません。

売却価格は競売より高くなることが通例なので、以後に残る返済金額も競売よりは少なくなる可能性が高いでしょう。

 

後述するリースバックという手段を使えば、任意売却後でも同じ家に住み続けることが可能です。

 

 通常の不動産売却

通常の不動産売却は、すでに住宅ローンを完済している状態でなければ行えません。

おおむね相場通りの金額で売却できる点はメリットですが、住宅ローンの返済に困って任意売却をお考えの方にとっては、選択する余地のない売却方法となります。

 

なお、通常の不動産売却の場合、民法上の「契約不適合責任」を負う義務が生じます。

「契約不適合責任」とは、契約締結後に契約内容とは異なる部分が発覚した場合には、事後的に売主がその部分に対する責任を負うことを言います。

 

例えば「雨漏りはない」という契約内容で住宅を売却した後、実際には雨漏りが見られた場合には、事後的に売主の負担で雨漏りを修繕しなければなりません。

 

しかし任意売却の場合、売買契約において「契約不適合責任の免除」という特約を付けることが多くあります。

契約締結後、契約内容とは異なる部分が発覚したとしても、事後的に売主が責任を負うケースは少ないのです。

 

 任意整理

任意整理とは、債権者との話し合いにより、金利の減免に応じてもらう手続きを言います。

 

例外的な事例を除いて元本を減らすことはできませんが、金利部分はカットできるため、後は着実に元金を減らしていくことが可能。

「いつまで経っても金利を払い続けているだけ」という事態を回避できます。

 

任意整理は、自己破産や後述する個人再生とは異なり、裁判所の手続きが要りません。

あくまでも債権者と債務者との話し合い(司法書士などに仲介してもらうことが一般的)で行われる手続きなので、情報が官報等で公表されることもありません。

 

ただし、住宅ローンの返済にお困りの方が任意整理を行ったとしても、住宅ローンの元本が減るわけではないので、以後も相応に高額な返済が続きます。

元本の返済も難しくなれば、最悪の場合、競売にかけられる可能性があります。

 

個人再生

個人再生とは、債務者が抱えている借金を法的に圧縮する手続きを言います。

裁判所から個人再生が認められれば、借金の総額を最大で1/5~1/10程度まで圧縮が可能です。

 

個人再生のメリットは、金利も元本も含めて借金を大幅に減らすことができる点。圧縮後の残債や収入にもよりますが、以後の返済はとても楽になることでしょう。

 

しかし個人再生を行った場合、自己破産と同様に、その情報が官報に掲載されます。氏名や住所が公開されるので、何らかのきっかけで周囲に知られてしまう可能性があるでしょう。

任意整理では情報が公開されないため、周囲に知られる可能性は限りなく低いと言えます。

 

なお、任意売却、自己破産、競売、任意整理などと同様に、個人再生を行った場合でも、いわゆるブラックリストに登録されます。

金融事故があった者として、一定期間は融資等の制約が入ることを理解しておく必要があるでしょう。

 

任意売却とは

任意売却とは、住宅ローンの返済途中で家を売却する手続きを言います。

 

通常、家を売却するためには債権者が設定した抵当権を外す必要がありますが、抵当権を外すためには住宅ローンを完済しなければなりません。

つまり、「住宅ローンを完済しなければ抵当権を外すことができないため、家を売却できない」ということが原則となります。

 

しかし例外的な方法として、「住宅ローンを完済していない状態で抵当権を外し、家を売却する」という流れが可能になることがあります。

それが任意売却。任債権者と交渉し、債権者に抵当権を外してもらった上で家を売る特殊な手続きです。

 

任意売却でリースバック契約をすれば家に住み続けられる

任意売却の大きなメリットの1つに、「売却後もその家に住み続けられる可能性がある」という点が挙げられます。

 

競売の場合には家を立ち退かなければならないため、基本的に同じ家に住み続けることはできません。

一方で任意売却の場合には、買主とリースバック契約を結ぶことにより、引き続きその家に住めるのです。

 

リースバックとは

リースバックとは、買主に家賃を支払う形で家に住み続ける方法です。

それまでは住宅ローンを返済しながら家に住んでいた形ですが、リースバック以後は賃貸の形で同じ家に住む形となります。

 

賃貸契約である以上、きちんと家賃を支払っていれば、競売とは異なり家を立ち退く必要はありません。

 

立ち退きによる周囲の目や噂が気になる方、自分で建てた家に愛着のある方、お子様を転校させたくない方などにとって、リースバックは理想的な解決策の1つになるのではないでしょうか。

 

将来的に家を買い戻せる可能性もある

リースバックのもう1つの大きな魅力が、将来的に家を買い戻せる可能性がある点です。

リースバックの契約時に買主との間で「再売買予約権」を設定しておけば、将来的に収入が好転した際、家を買い戻すことが可能です。

 

任売売却に至る理由には様々ありますが、その理由が一時的な減収(長期入院など)である場合には、将来的な買い戻しが現実的な選択肢の1つとなるでしょう。

 

任意売却の流れ

住宅ローンの滞納から任意売却が完了するまでの大きな流れについて確認してみましょう。

 

 債権者から督促が入る

住宅ローンを滞納した数日後、債権者(金融機関)から連絡が入ります。口座への入金忘れで引き落としがかからない例も多々あることから、まずは入金確認の連絡ということになります。

その後も入金される1か月ほど経過すると、債権者から督促状が届いたり、督促の電話が入ったりなどし、具体的な入金の期限日が伝えられます。

 

あわせて、もし期限日までに入金がされない場合には、住宅ローンの一括返済を請求する可能性がある旨も伝えられます。

 

「期限の利益」を喪失する

引き続き滞納が続き3か月ほどが経った頃になると、債権者から「期限の利益の喪失」をお知らせする文書が届きます。

 

「期限の利益の喪失」とは、簡単に言えば「借金を分割で払う権利を失うこと」です。

この通知が来た段階で、債務者は住宅ローンを一括返済しなければならなくなります。

 

しかし債務者は、月々の住宅ローンの返済に困っている状況なので、親族等からの資金援助でもない限り残債を一括では返済できません。

債権者もそのことは承知済みなので、債務者に対してではなくローンの保証会社に対して一括返済を求めることになります。

 

この求めに応じ、債務者に代わって保証会社が一括返済することを「代位弁済」と言います。

 

保証会社が代位弁済を行ったとしても、債務者の借金が消えるわけではありません。

以後、債務者は銀行などの金融機関ではなく、保証会社に対して返済することになります。

 

 「競売開始決定通知書」が届く

代位弁済を行った保証会社は、債務者に対して返済を請求します。住宅ローンの滞納が始まり、おおむね6か月を過ぎた頃になります。

この時点で債務者に返済のめどが立てば良いのですが、返済されない場合には、保証会社から裁判所に対して「競売の申立」が行われます。

 

「競売の申立」を受けた裁判所は、債務者に対して「競売開始決定通知書」を送付。

「競売開始決定通知書」とは、裁判所が競売の申立を受理したことを伝える書類です。

 

この時点では「競売の開始が決定した」というだけで、「競売が開始された」というわけではありません。

 

 任意売却の専門家に相談する

任意売却の相談はいつからでも始められますが、遅くとも「競売開始決定通知書」が届いたならば、速やかに相談すべきでしょう。

相談先は、司法書士や弁護士、任意売却の専門業者などです。

 

司法書士や弁護士に相談する場合には、事前に事務所の公式HP等で専門・得意分野を確認しましょう。

離婚訴訟や刑事事件を得意とする弁護士などに任意売却の相談をしても、適切に対応してもらえない可能性があるからです。

 

なお、任意売却の「手続き」自体は保証会社による代位弁済後からしか始められませんが、専門家に対する任意売却の「相談」のみであれば、いつからでも始めることができます。

代位弁済直後からスムーズに任意売却へと移行できるよう、住宅ローンの返済が厳しくなったと感じた場合には、可能な限り早い段階で専門家に相談を持ちかけるようオススメします。

 

債権者と交渉する

債権者のもとに赴き、任意売却に関して交渉します。

 

任意売却の交渉には高度な知識と交渉力が必要となるため、専門家が同行の上で交渉するのが一般的です。

あるいは債務者は同行せず、専門家に交渉を一任する形になることもあります。

 

なお、任意売却には連帯保証人や連帯債務者、共同名義人などの合意も不可欠となっているので、交渉の段階までに全員からの合意を得て、交渉の場で合意があることを債権者に伝える必要があります。

 

 売却活動を行う

債権者から任意売却の許可を得たならば、債務者は不動産会社と媒介契約を結んだ上で売却活動に入ります。

 

媒介契約は「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類。

任意売却においては、不動産会社1社とのみに売却活動を依頼する「専任媒介契約」か「専属専任媒介契約」を結ぶことが一般的です。

 

なお、売却活動における売り出し価格は、不動産会社や債務者ではなく、債権者が決める形となります。

速やかに売却するためには、債権者と交渉して現実的な売り出し価格を設定してもらう必要があるでしょう。

 

売却が成立する

売主と買主との間で売買契約を締結し、物件の引き渡しと代金の支払いが行われます。

 

任意売却であっても、売買契約の手続きは一般的な不動産の取引と同じです。

 

引越しをする、またはリースバックで住み続ける

売買契約が締結されたら、買主との間で取り決めた期日までに物件を明け渡し、引越しをします。

 

あるいは、買主との間でリースバック契約を結んだ場合には、引越しをせずにそのまま同じ家へ住み続けることになります。

 

任意売却では持ち出しの費用が基本的にかからない

一般的な不動産売却においては、不動産仲介手数料や抵当権抹費用、印紙税、測量費用など、売主には様々な費用が別途でかかります。

一方で任意売却の場合、基本的に売主が別途で用意する費用はありません。

 

厳密に言えば、「費用がかからない」のではなく「家の売却代金の一部を費用に充てられる」ということ。

本来、家の売却代金は債権者に入るものなので、実質的には債権者が費用を負担している形となります。

 

任意売却を余儀なくされた状況の中、多くの方にとって、別途で現金を用意することは難しいことでしょう。

売却代金で費用をまかなってもらえるならば、非常に助かるのではないでしょうか。

 

以下、任意売却の売却代金でまかなってもらえる可能性のある費用項目を確認してみましょう。

 

 仲介手数料

仲介手数料とは、不動産の売買を仲介した不動産会社に支払う手数料のこと。成功報酬型の手数料となるため、売買が成立しなければ支払う必要はありません。

 

仲介手数料は法令による上限額の設定があり、売却価格が400万円以上の取引における上限額は「売却価格×3%+6万円+消費税」で算出します。

多くの不動産会社では上限額を実際の手数料としているため、仮に任意売却の売却価格が1500万円だったならば、売主は不動産会社に対して手数料56万1千円を支払うことになります。

 

抵当権抹消にかかる費用(登録免許税)

任意売却をする際には、債権者の了承のもとで抵当権を外す必要があります。この手続きにかかる税金が、抵当権抹消にかかる登録免許税です。

 

税額は不動産1件につき1千円。土地と建物の場合は不動産2件となるため税額は2千円となります。

手続きを司法書士に依頼した場合には、1件ごとに報酬1万~1万5千円ほどがかかります。

 

測量費用

必要に応じ、任意売却の前に測量を行うことがあります。

一般的な宅地の測量費用相場は10~20万円ほど、土地の売却に必要な確定測量の費用相場は40~50万円ほどと、その金額は決して安くありません。

 

 印紙税

印紙税とは、不動産の売買契約書にかかる税金のこと。売買契約書に収入印紙を貼付する形で納税します。

印紙税の税額は売買代金によって異なりますが、仮に売買代金が1000万~5000万円の範囲内だった場合には2万円となります(2022年10月現在は軽減税率が適用されて1万円)。

 

引越し費用

家の売却が決まったら、買主と取り決めた期日までに家を明け渡して引っ越さなければなりません。

 

荷物の量や引越し先までの距離、引越し時期によって費用は大きく異なりますが、一般的な一軒家で中距離(50~200km程度)の引越しの場合、10万~18万円程度と考えておいたほうが良いでしょう。

引越しに伴い、不用品の処分代などがかかることもあります。

 

固定資産税・都市計画税・住民税の滞納分

住宅ローンの返済にお困りであれば、固定資産税や都市計画税、住民税などの税金を滞納している可能性もあるでしょう。

 

マンションの管理費・修繕積立金の滞納分

マンションを任意売却した方の中には、過去の管理費や修繕積立金を滞納している方もいるかもしれません。

 

以上、本来は売主が自腹で用意しなければならなこれらの費用について、あくまでも債権者との交渉次第にはなるものの、任意売却の代金からまかなってもらえる可能性があります。

 

 任意売却をする際に注意しておきたいこと

競売を避けられたり、同じ家に住み続けられたりなど、債務者にとって有利な状況が実現できそうな任意売却ですが、任意売却する上でいくつか注意しておくべき点があります。

 

任意売却の主な注意点を確認してみましょう。

 

残債の返済義務がなくなるわけではない

任意売却は、あくまでも債権者と債務者との合意のもとで行われる民間手続きです。

裁判所の命令による「個人再生」や「自己破産」とは異なり、借金が減免されるわけではありません。

 

そのため、仮に任意売却の代金を全額返済に充てたとしても、借金の残債が残れば、以後も返済義務が続くことになります。

 

連帯保証人や連帯債務者等から同意を得る必要がある

住宅ローンに連帯保証人や連帯債務者が設定されている場合や住宅の共同名義人がいる場合、連帯保証人・連帯債務者・共同名義人の全員の同意を得なければ任意売却はできません。

 

費用の全額を売却代金からまかなってもらえるとは限らない

任意売却にかかる各種の費用が売却代金からまかなわれる可能性がある、と説明しましたが、実際に費用が売却代金からまかなわれるかどうかは、債権者との交渉次第です。

特に税金の滞納分やマンションの管理費・修繕積立金の滞納分が多額になる場合、その全額を売却代金からまかなってもらうのは難しいかもしれません。

 

どのようなタイミングで任意売却の検討・相談をすれば良いか

実際に任意売却ができる時期は保証会社から代位弁済通知書が届いた後になりますが、任意売却の「相談」のみであれば、いつから始めても問題ありません。むしろ、早ければ早いほど良いとされています。

 

任意売却という選択肢を検討している方は、次のようなタイミングを迎えた際に専門家へ相談をしてみると良いでしょう。

 

 住宅ローン返済が難しいと感じてきた時

入院、リストラ、転職、勤務先の倒産などにより、近い将来の住宅ローンの返済が困難になりそうな見通しとなった場合、早めに任意売却の相談をしてみてはいかがでしょうか。

 

一般的に、弁護士や司法書士に相談した場合には相談料がかかりますが、任意売却の専門業者に相談した場合には相談料は無料です。まずは無料相談ができる業者に相談してみるようオススメします。

 

保証会社等から「代位弁済通知」が届いた時

債務者に代わって保証会社等が金融機関に住宅ローンの残債を一括払いすると、保証会社等から債務者に対して「代位弁済通知」が届きます。

 

この通知が届いた時点から任意売却の具体的な売却活動が可能となるため、速やかに専門家に相談の上、活動を開始したほうが良いでしょう。

 

裁判所から競売開始決定通知が届いた時

債権者(保証会社など)が裁判所に「競売の申立」を行うと、その後、裁判所から「競売開始決定通知」が届きます。

この通知が届いてから実際に競売が実行されるまでに一定の期間があるので、この期間内に任意売却の相談と手続きを進めていく方もいます。

 

この時点では競売までのタイムリミットが近いため、迅速に動くようオススメします。

 

 離婚のため家を売ることにした時

離婚に伴い、以後の住宅ローンの支払いが協議されることになった場合、中には家を任意売却して残債を双方で負担する形式にする方もいます。

任意売却する1つのタイミングとして検討しても良いでしょう。

 

ただし、原則として任意売却は保証会社等による代位弁済後でなければできません。

つまり、住宅ローンの滞納が背景にある離婚であることが、基本的な前提になります。

 

 住宅ローンを払えない時の相談先

住宅ローンを払い続けられないことがおおむね確定したならば、速やかに専門家へ相談するオススメします。

 

具体的な相談先としては、司法書士や弁護士、任意売却の専門業者、債権者(金融機関)などがあります。

それぞれの特徴を比較してみましょう。

 

 司法書士・弁護士

司法書士や弁護士は法律の専門家ですが、実際の実務においては得意分野・専門分野を持っていることが通常です。

そのため、任意売却を相談する場合には任意売却に詳しい司法書士・弁護士をリサーチして依頼することが望ましいでしょう。

 

ただし、いかに任意売却に詳しい司法書士・弁護士であっても、不動産取引の免許を持っていなければ任意売却は不可能。

仮に免許を持っていたとしても、物件の買主を探すなどの具体的な売却活動まで細やかにサポートしてくれるとは限りません。

 

結果、多くの場合は、司法書士や弁護士と提携する不動産会社が仲介する形になります。

売主にとっては、二重で手数料がかかる可能性もあることを理解しておきましょう。

 

なお、住宅ローン以外にも借金を抱えている方で、任意売却と債務整理を比べながら検討していきたい方には、司法書士・弁護士への相談が適しているでしょう。

 

任意整理の専門業者

任意整理をする場合の王道となる相談先は、任意整理を専門的に取り扱っている不動産会社です。

不動産会社であれば、相談だけではなく売却活動も適切に行ってもらえるので、ムダなく任意売却を進めてもらえる可能性が高いでしょう。

 

また、不動産会社の手数料は成功報酬制なので、司法書士や弁護士とは違い、何度相談しても基本的に相談料は無料です。

 

実際に任意売却が成立した際の仲介手数料も、多くの場合は売却金額の中から充当できるので、売主の持ち出しはほとんどありません。

 

 債権者(金融機関)

司法書士・弁護士・専門業者などに相談する前に、住宅ローンの返済に困った際には債権者(金融機関)に相談するのが筋です。

 

競売や任意売却を避けたいという思いは、債務者も債権者も一緒。

債務者の現状にあわせて当初の返済計画を見直すなど、債権者は可能な限りの現実的な手段を検討・提案してくれます。

 

まずは債権者に相談し、その上でどうしても返済が難しいという場合には、司法書士・弁護士・専門業者などに任意売却の相談をするという流れとなります。