住宅ローンの滞納や任意売却によって、連帯保証人もブラックリスト掲載されることがあります。
連帯保証人が滞納の督促に応じて返済を肩代わりすれば特に問題はないのですが、もし返済が困難な場合はブラックリスト入りする可能性があります。
ブラックリストに載るとローンやクレジットカードの契約ができなくなるなどのデメリットがあります。信用情報機関によっては、滞納が完済されても一定期間ブラックリストに掲載され続ける場合があります。
競売より任意売却が債権者・債務者双方にとって有利であるため、住宅ローンの返済が困難になった場合は任意売却を検討することがおすすめです。
住宅ローンを滞納すると連帯保証人もブラックリストに載る可能性がある
住宅ローンを滞納すると、連帯保証人もブラックリストに載ってしまう可能性があります。
「ブラックリストに載る」とは、ローン返済などで金融機関が損失を被った際、信用情報機関に「金融事故情報あり」との旨が登録されることを言います。
ブラックリストに載っている間は新規でローンやクレジットカードを契約できないなど、お金に関するいくつかの制約を受けることになります。
以下、住宅ローンや任意売却で連帯保証人がブラックリストに載るケースを2つ見てみましょう。
住宅ローン滞納の督促に連帯保証人が応じないケース
住宅ローンの主債務者の滞納が続けば、その人の滞納情報はブラックリストに載ります。
また、滞納が始まれば金融機関は連帯保証人に返済の督促を出しますが、この督促に応じられなければ連帯保証人もブラックリストに載ります。
逆に、督促に応じて連帯保証人が返済を肩代わりすれば、連帯保証人の情報はブラックリストに乗りません。
もとより連帯保証人が返済を肩代わりすれば、任意売却に至ることもありません。
つまり任意売却に至ったということは、連帯保証人も督促に応じられなかったことを意味します。
任意売却が行われている時点で、すでに主債務者と連帯保証人の両方がブラックリストに載っているのです。
任意売却後の残債滞納の督促に連帯保証人が応じないケース
任意売却が成立しても、その売却代金で住宅ローンを完済できるとは限りません。
残債を大きく減らせることは確かですが、引き続き債務者はその残債を返済していくことになります。
任意売却後の残債は少額になるケースが大半なので、多くの場合、債務者は無理なく返済していけるでしょう。
ただし、もし残債の返済も困難となった場合には、やはり債務者の情報がブラックリストへ掲載されます。
あわせて、債権者は連帯保証人に督促を出しますが、この督促に応じられない場合、連帯保証人の情報もブラックリストへ掲載されます。
任意売却が直接的な原因でブラックリストに載るわけではない
任意売却した人は、ほぼ確実にブラックリストに載ります。
ただしブラックリストに載る理由は、任意売却したことが直接的な原因ではありません。
任意売却をしたことではなく、住宅ローンを滞納したことがブラックリストに載る直接的な原因です。
信用情報機関におけるブラックリスト掲載基準
詳しくは後述しますが、ブラックリストの情報をまとめている機関は3社あります。
これら3社のうち、例えば会社日本信用情報機構(JICC)では、入金期限から3か月以上にわたり借金を滞納した場合について、金融事故情報として登録する(=ブラックリストに載せる)と規定しています。
住宅ローンについても、滞納から3か月以上となった時点でブラックリストに載っている、と考えて良いでしょう。
逆に言えば、滞納から3か月未満で任意売却を成立させればブラックリストに載らない可能性もあります。しかし、滞納からわずか3か月未満で任意売却を成立させることは現実的に困難です。
基本的に、ほとんどの任意売却では、債務者の情報がブラックリストに載っていることになるでしょう。
ブラックリストに載るとどうなるのか?
ブラックリストに載ることで受ける主な制約、および住宅ローン滞納によるブラックリスト掲載期間について見てみましょう。
ブラックリストに載ることで受ける主な制約
ブラックリストに載っていることを理由に制約を設けるかどうかは、対応する各社の判断によります。
ただし、一般的に、ブラックリストに掲載期間中は次のような制約を受けることになるでしょう。
– 新たなローンを組めない
– 新たなクレジットカードを作れない
– 既存のクレジットカードを更新できない(できる場合もある)
– 携帯電話の分割購入ができない(一括購入は可能)
– 他人の借金の保証人になれない
様々な制約を受ける形となりますが、ひとつずつ確認してみると、さほど日常生活に支障があるわけでもありません。
手元にあるお金の範囲内で、かつ現金中心で生活していくことになるため、これをきっかけに健全な生活を取り戻せる可能性すらあります。
なお、クレジットカードの新規契約はできませんが、デビットカードなら問題なく新規契約可能です。
デビットカードとは、利用した瞬間に銀行口座から引き落としされるタイプのカード。クレジットカードとは違い、銀行口座に残高が残っていなければ使えません。
住宅ローン滞納でブラックリストに掲載される期間
ブラックリストを作成している機関は3つあります。それぞれの機関の特徴、および滞納情報の掲載期間について確認しましょう。
全国銀行個人情報センター(KSC)…完済まで+完済から5年間ブラック
銀行や信用金庫、銀行系クレジットカード会社などが多く加盟している信用情報機関です。
住宅ローンを滞納して任意売却した場合、残債をすべて返済するまでの期間、および返済を終えてから5年間にわたり金融事故情報が掲載されます。
株式会社シー・アイ・シー(CIC)…完済まで+完済から5年間ブラック
クレジットカード会社、消費者金融、信販会社などが多く加盟している信用情報機関です。
住宅ローンを滞納して任意売却した場合、全国銀行個人情報センター(KSC)と同様に、完済までの期間と完済から5年間にわたり金融事故情報が掲載されます。
株式会社日本信用情報機構(JICC)…完済まで+完済から5年間ブラック
消費者金融、信販会社、リース会社、保証会社などが多く加盟している信用情報機関です。
住宅ローンを滞納して任意売却した場合、全国銀行個人情報センター(KSC)と同様に、完済までの期間と完済から5年間にわたり金融事故情報が掲載されます。
競売より任意売却をおすすめする理由
住宅ローンの返済が困難になった時の選択肢として、競売と任意売却があります。
競売とは、債権者の申し立てにより、裁判所の判断で強制的に家を売却される手続きです。債務者の意向を考慮せず、法的強制力によって売却が進められます。
任意売却は、債務者と債権者との合意を前提に、通常の不動産取引と同様の手順で売却が進められます。
競売が申し立てられるまでの経緯
住宅ローンの滞納が3~6か月ほど続くと、保証会社から債務者に「代位弁済通知」が届きます。
代位弁済通知とは、債務者に代わって保証会社が金融機関へ住宅ローンを一括払いした、という内容の通知です。
借金を肩代わりしたわけではなく、あくまでも立て替えた形となるため、以後、債務者は保証会社に対して借金を返済することになります。
しかし、債務者にとっては、債権者が代わったとしても返済が困難なことに変わりありません。
返済ができなければ、保証会社は裁判所へ競売の申し立てをすることとなります。
競売の申し立てを受けた裁判所は、債務者に対して「競売開始決定通知」を送付。多くの債務者は、この通知が届いた時点から任意売却を検討することになるようです。
債権者と債務者の双方にとって任意売却のほうが有利
住宅ローンの返済が困難となった場合、競売と任意売却のどちらかを選択することになりますが、一般的には任意売却するほうがおすすめです。
個別の案件にもよりますが、競売の場合、売却価格は通常売却の6割程度になると言われています。一方で任意売却の場合、売却価格は通常売却の7~9割となる事例が多いようです。
売却価格が高ければ高いほど残債の額も小さくなるため、以後の返済は楽になります。
また、残債の額が小さくなれば、債権者にとっても全額回収できる可能性が高くなります。
競売より任意売却のほうが、債権者と債務者の双方にとって有利な展開となるでしょう。