1つの債権(借金)の担保として複数の土地建物に担保権(抵当権)を設定することです。
不動産を購入する際には住宅ローンで購入される方が多いと思います。
住宅ローンの融資額では具体的に2つの観点で判断が行われます。
①借入を行う方(物件を購入される方)の属性…年収や資産額
②購入予定の物件の属性…物件の所在地や状態
これらの観点で融資可能額を判断します。
個人の属性や購入物件の属性では担保力が融資希望額に満たない場合、「自己資金(頭金)」か「他に所有する不動産を担保」として差し入れることを求めることになります。
具体的には、6,000万円借りたいのに、不動産Aだけでは担保価値が4,500万円しかない。という場合には、1,500万円の担保価値がある不動産Bと共同担保に設定し、融資額を大きくしたり、融資を受けやすくすることが可能となります。
共同担保のメリット
債権者(貸す側)のメリット
複数の不動産を担保にすることで、不動産価値が変動・下落してもその影響を一部に留めることが可能です。
また、担保評価が不足する(担保割れ)場合のリスクを分散させることができます。
いずれかの不動産の価値が低下したとしても、残りの不動産の担保価値が維持できていれば、万一のときでも債権の回収率が上がることがあります。
一方、土地と建物の両方を共同担保にした場合も、土地だけを競売に出すよりも、土地と建物をセットにして競売に出した方が価値は上がるため、債権者も回収できる金額が増えるので、共同担保は債権者側にもメリットがあるといえます。
債務者(借りる側)のメリット
1つの不動産では担保価値が不十分であっても、2つ以上の不動産を担保とすることでより有利な条件で融資が受けられるようになり、借入額を引き上げることが可能になります。
共同担保は、ひとつの不動産だけでは借入れができなかったり、金額が少なかったりする場合に活用できます。
共同担保のデメリット
反対に、共同担保には次のようなデメリットがあります。
共同担保が可能な物件かどうかが、エリアで決まっている
いざ、融資額を引き上げるために、物件を担保にいれようとしたときに、金融機関には対応エリアが存在しています。
つまり、共同担保に入れたい物件が、それぞれ離れた場所に位置していると借入れは難しくなります。
なぜなら、金融機関によって対応できるエリアが決められており、エリア外になると共同担保として取り扱ってくれないからです。そのため、共同担保としたい各々の物件が、金融機関の対応エリア内にあるかどうかは、事前に確認しておくことが大切です。
共同担保は片方だけを抹消することができない
共同担保を抹消したいときに、片方の不動産だけを抹消することはできません。
なぜなら、共同担保は、それぞれの物件が2つで1つになり、担保をかけられているからです。
しかし、債務を完済できれば共同担保の抹消が可能な場合もあります。
その条件には残された不動産の担保価値だけで現在の融資が十分にカバーされる場合です。
共同担保でどれくらい返済しなければならないのか明確な決まりというものはありません。
あくまでも銀行との交渉ということになります。
共同担保目録とは
共同担保目録とは、共同担保の対象を一覧にしたもののことで、登記事項証明書(「登記簿謄本」)の末尾に記載されています。
共同担保目録には、共同担保の対象となる物件の住所と共に「土地」や「家屋」といった種別や「順位番号」といって、1つの不動産に2つ以上の抵当権が設定されている場合の優先順位が記載されています。
抵当権は、債務者が住宅ローンを返せなくなった場合に、金融機関が競売によって優先して債権を回収できる権利のことで、「順位番号が1番」と記載のある抵当権から順に債権を回収されます。
登記事項証明書には、共同担保目録以外に「表題部」・「権利部(甲区)」・「権利部(乙区)」といった記載欄もあります。
抵当権がいつ設定されたのか、債権額はいくらか、利息はいくらかといった借入れに関する情報や、債務者と債権者の氏名、住所などの重要な情報が記載されています。
共同担保目録から抵当権を抹消する方法
では、共同担保目録から抵当権を抹消できる場合についてご紹介します。
①債務をすべて返済したとき
先ほども述べましたが、共同担保目録は債務を共同担保に設定されたすべての不動産を返済すれば抹消できます。
また、共同担保に設定された不動産のうちのひとつが完済され、もう一方の不動産だけでも十分に価値があると金融機関側が判断すれば、共同担保目録の抵当権を一部抹消してもらえるケースもあります。
②任意売却したとき
住宅ローンだけでなく、他の債務も返せなくなってしまった場合でも、任意売却によって共同担保目録から抵当権を抹消できます。
共同担保の落とし穴 解決事例
【実家に共同担保!!】新築の借り入れに共同担保が実家に…
大阪府岸和田市S様
新築の購入の際、銀行に言われるがまま実家を共同担保に…
岸和田市のSさんは、今から9年前に新築戸建てを購入しました。その時、銀行から言われたのが「ご実家を共同担保に入れて頂くと、ご融資可能です」。Sさんは、自分たち家族が将来家を手放すなどの考えは当然なく、銀行の言うとおりに。新しく購入したお家とご実家は約100M程の距離で、おばあちゃんも孫の顔をいつでも見れると大変喜んでおられました。ところがまさかの任意売却。ご事情は大黒柱のご主人の病気でした。新築の家の任意売却を無事完了。しかし残った債務は600万円。共同担保の怖さはここからです。債権者(銀行)は、当然この600万円の回収にかかります。どうするかと言えば、実家の差押え、競売です。銀行からすれば、このための共同担保。しかしSさんからするとおばあちゃんにも迷惑をかけた形に…。結局、ご実家も私共で任意売却をお手伝いさせて頂きました。今はSさんもおばあちゃんもご家族も賃貸アパートで穏やかに暮らしておられます。住宅ローンのお申込みの際は、くれぐれもよくお考え下さい!!
ECエンタープライズ任意売却無料相談窓口とは?
ECエンタープライズ任意売却無料相談窓口では、家を売りたい方と債権者との間に立ち、自宅を売却するサポートをしています。
今回のケースでは、「共同担保」についてよく理解をしないまま契約をしてしまったようです。手持ちの資金が少なかったり、建物だけを担保に入れても希望の借入額に満たない場合には1度、今後の返済計画と現時点で本当に住宅を購入する必要があるのかどうか1度考えてみましょう。
一方、当社では「共同担保の自宅を任意売却した」という事例もございます。
「住まい」や「住宅ローン」について相談をしたい方はぜひ、当社へお問い合わせください。ご相談には一切費用はいただいておりません。
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