住宅ローン滞納から届き始める様々な通知類にはどんな意味がある?通知が届く時期や競売を回避して任意売却にできる期限など、有利に解決するための情報を集めました。
督促状
住宅ローンの滞納が始まって1~5ヶ月ぐらいの間は、毎月金融機関から「督促状」が届きます。
督促状とは支払いを強く促す請求書で、滞納1回目では督促状が届くのみですが、2回目以降には電話での督促もなされます。
それでも滞納が続く時に届くのが「来店依頼状」。
住宅ローンの滞納は大きな契約違反となるため、金融機関に出向いてきちんと事情を説明しなければならないのです。
金融機関への状況説明では、現状をできるだけ正確に伝えることが肝要。事情によっては返済方法を見直して、継続返済可能な方法を提案して貰えるケースもあるからです。
もし収入回復の見込みがつかずに家を手放さなければならないにしても、時間的な余裕があればできるだけダメージの少ない方法を選ぶことができます。
来店依頼状を無視してしまうと、金融機関との話し合いは非常に難しくなると認識して下さい。
催告書
住宅ローン滞納が5ヶ月を経過する頃には「催告書(最終督促状)」が届きます。
これは「期日までに遅延分を払わなければ法的措置に出ますよ」という通知。法的措置とは、住宅ローン契約を打ち切るという意味です。
催告書は、督促状を無視したまま滞納を続けた結果届けられる、金融機関からの最後通告と考えてもいいでしょう。督促状と同様に考えて放置すると、瞬く間に競売への手続きが進んでしまいます。
競売ではオークション形式で家が売却され、ほとんどのケースで売却価格は市場価格を大きく下回るため、結果的に家を手放したにもかかわらず多額の残債が残ってしまうのです。
競売は、住宅ローン滞納がもたらす結果としては非常に厳しいもの。
そんな競売回避の方法として考えられるのが任意売却です。
任意売却なら、債権者の許可を得られれば一般市場での売却が可能。競売より高値で売却できることが多く、残債の返済が有利になります。
期限利益の喪失
住宅ローン滞納6ヶ月を経過すると、「期限の利益喪失」の通知が届きます。
期限の利益とは「決められた期限までは分割して返済してよい」という利益のこと。住宅ローンは期限の利益を定めた金融機関との契約なので、期限の利益を喪失すると契約は解除されてしまいます。
この段階まで来てしまうと、延滞分をまとめて返済すると申し出ても受け入れられません。あくまでも残債を一括返済するよう求められます。
一括支払いが難しいから住宅ローン契約で家を買ったわけですから、その住宅ローンを滞納している状態で残債を一括返済するというのは殆ど不可能だといえるでしょう。
参照サイト : 期限の利益の喪失したらどうなる?~起きることと対処法
代位弁済通知
期限の利益喪失通知が届いて一括返済ができないと確認されると、「代位弁済通知」が届きます。
代位弁済とは、本来の債務者ではない人が債務者に代わって返済すること。この場合の代位弁済者は住宅ローン契約と同時に契約した保証会社で、保証会社が残債の一括返済を済ませたことを知らせるのが代位弁済通知書です。
代位弁済と同時に住宅ローン債権は保証会社に移り、住宅ローンを組んだ金融機関との取引関係は終わります
この後の交渉相手は保証会社になりますが、交渉相手が変わっても住宅ローンの一括返済義務がなくなるわけではありません。
残債が一括返済されない場合、保証会社は裁判所に不動産の競売を申し立てます。
この段階に入ってしまうと、任意売却をしようにも手続きが相当困難になるのです。
差押通知
住宅ローン滞納8ヶ月を経過するころになると、保証会社は裁判所に競売を申し立て、裁判所は競売物件が不正に売却されるのを防ぐため、対象の不動産を差し押さえます。
差押えは不動産登記簿に登記されるため、以後は勝手な売却はできません。
この手続きが終わったことを住宅ローン滞納者に知らせるのが「差押通知書」。
今住んでいる家が自分の意思ではどうにもできない状態に陥ったのだということを、この通知書を受け取ってはじめて実感する人が少なくありません。
この段階ではまだ、この事実を知っているのは利害関係者だけ。
競売を避けるのは大変難しいですが、保証会社と適切に交渉すれば任意売却に持ち込めます。
競売決定通知書
住宅ローン滞納が続いて9ヵ月目頃には、保証会社の競売申し立てを裁判所が受理したという通知である「競売開始決定通知書」が届きます。
その1ヶ月ほど後に、不動産の現況調査が行われます。
裁判所から執行官と鑑定人が家に立ち入り、状態を確認。現況調査では屋外から室内まで写真を撮られるため、住人の精神的な負担は非常に大きなものです。
現況調査が終わると売却基準価額が決定され、物件明細書、評価書とともに現況調査報告書が3点セットとしてインターネット公開されます。
公開されるのはBITシステムと呼ばれる一般閲覧可能な競売情報サイトですので、ご近所や知人に自宅が競売にかかっていることを知られてしまうかもしれません。
このように、競売は経済面だけではなく精神的、社会的ダメージが大きい解決法なのです。
競売を回避できる最終期限は、競売開始の前日まで。
期限までに保証会社に競売を取り下げてもらうよう交渉し、保証会社が取り下げてくれれば、任意売却に切り替えることができます。
しかし、売却にかけられる時間が限られるため、売却価格が低くなる可能性は否めません。