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住宅ローンを滞納しそうな時に読んで欲しい4つのこと

住宅ローンの返済を滞納し続けると、最悪の場合、競売で家を失ってしまいます。
ここでは、滞納から競売までの流れや、その前にできること、滞納してしまったときの対処法を解説します。

 

住宅ローン、もし滞納してしまったらどうなる?

住宅ローンの支払いを1度でも滞納してしまったら、返済日の翌日から遅延損害金が発生します。気づいたらすぐに金融機関に連絡し、滞納分を支払いましょう。

 

支払いを滞納し続けてしまうと、最終的に競売にかけられることになります。
競売とは、お金を貸した側が家を強制的に売却してローン残高を回収する法的手続きを指し、家を売却された人は立ち退くしかありません。

そうならないためにも、滞納の始まりから競売によって家を失うまでの流れを知っておきましょう。

 

住宅ローンの返済を滞納してしまうと、通常1~2ヶ月で金融機関から請求のはがきが届き、さらに2~3ヶ月滞納が続くと催告書が郵送されてきます。催告書に書かれているのは、「指定の期日までに滞納額を支払わないと“期限の利益”を失う」という警告です。

期限の利益とは、ローンを月々分割して長期間の返済ができる権利(利益)のこと。これを失うのは、残りのローンを一括で返済しなければならないことを意味します。

 

催告書には、「期日までの支払いがなければ、金融機関が保証会社に“代位弁済”を求める」というもう1つの警告も記されています。
代位弁済とは、保証会社が滞納者の肩代わりをして残高を金融機関に支払うこと。実行されれば債権者は金融機関から保証会社に代わります。
保証会社が肩代わりした後も、当然ながら滞納者の支払い義務はなくなりません。

 

催告状が送られてくるころには、ブラックリストに載っている可能性もあります。

ブラックリストとは、金融機関が共有する「事故情報」の俗称。返済が61日以上、または3カ月以上滞納した場合は事故情報に載り、そうなるともう新たな借り入れはできません。

 

3~6ヶ月が経過しても滞納金を支払わない場合、期限利益の喪失が確定したことを知らせる通知が届き、次に保証会社が金融機関に代位弁済したことを通知する封書が送られてきます。
肩代わりした保証会社は滞納者に一括返済を求めてきますが、多くの人は一括で支払うことができません。支払えなかった場合、保証会社は裁判所に競売を申し立てることになります。

 

最初の滞納から6~10ヶ月が経つと、保証会社の申し立てを裁判所が受理したことを知らせる「競売開始決定通知」が届きます。
この通知が届いてしばらくすると、競売で売却するときの基準価格を調べるため、裁判所の執行官が不動産鑑定士とともに家にやって来ることになります。
執行官は、部屋の状態を確認したり近隣住民に聞き取り調査をしたりして、不動産としての価値を調べます。この調査での評価をもとに、競売の基準価格が決まるのです。

 

最初の滞納から12~16ヶ月が経った頃には、入札の開始日や期間などが記された「期間入札の通知」が送られてきます。
そこに記された「入札開始日」の15日前には、裁判所が運用する競売専用サイトなどで物件情報の公開が始まります。
競売物件は誰でも閲覧が可能。そのため、第三者に競売の事実が知られてしまうこともあります。

 

競売が始まったら、通常8日間の入札期間を経て開札が行われ、もっとも高い価格をつけた人が落札者となります。
落札者が代金を納付したら、所有権はその人に移転し、この時点で滞納者は住み慣れた家を失うことになるのです。

 

滞納してしまう前にすべきこと

返済を滞納してしまう前にできることがいくつかあります。

 

まず、車の売却、不要な保険の解約、通信費など固定費の削減で支出を減らし、住宅ローンの返済に充てられるお金を増やしましょう。

 

ローンの借り換えも検討してください。
現在の金利は史上最低水準。一昔前の高い金利で借りていた人は、借り換えで月々の支払額を減らせます。
延滞が続き、ブラックリストに載ったら借り換えはできません。滞納前に行うことが肝要です。

 

金融機関にも相談しましょう。
リストラや給与の減少、新型コロナウィルスの影響や健康上の理由で収入が減った場合などは、返済期間を延長したり金利を減免したりして、月々の返済額を減らしてくれるケースもあるのです。

 

滞納してしまった場合の対処法

もし滞納してしまったら、適切な対処法をとりましょう。
ここでは、おすすめの対処法と注意すべき方法を紹介します。

 

滞納後の対処1. 借入先と専門家への相談

滞納した場合、まずは金融機関に早めに相談すること。対納前の相談と同様、やむを得ない理由であれば、返済スケジュールの見直しや金利の減免に応じてくれる可能性があります。
ファイナンシャルプランナーのような専門家に相談するのもよいでしょう。

 

滞納後の対処2. 競売

結論からいえば、競売はなるべく避けるべき。
競売で家を手放しても、売却価格がローン残高を下回れば不足額を支払う必要があります。
売却額でローンが完済できればよいのですが、競売では相場の6~8割程度の価格でしか売却できません。そのため、多額の残金を支払うことができずに自己破産してしまう人もいるのです。

 

滞納後の対処3. 自己破産

自己破産は、すべての借金をゼロにする手続き。住宅ローン以外にも多くの借金がある場合は、選択肢の1つです。
自殺を考えるほど追い詰められているなら、自己破産してもよいでしょう。
しかし、当然ながら自己破産後すぐに普通の生活に戻れるわけではなく、10年間ブラックリストに登録される、20万円以上の価値が車や貴金属などを手放し、生活に最低限必要なものしか残せないといった大きなデメリットがあります。

 

滞納後の対処4. 任意売却

任意売却とは、競売のような強制売却でなく、金融機関と合意して自分の意思でローンが残った物件を売却すること。
競売よりも市場価格に近い価格で売却できるのがメリットで、競売を止めることもできます。
また、任意売却に応じて購入してくれた人に家賃を支払いながら、今の家に住み続ける方法もあるのです。

 

住宅ローンが払えず、売却することになったら

競売での売却で落札者が代金を納付したら、所有権が落札者に移るため、住んでいた人は立ち退かなければなりません。それ以降も家に住み続けていれば「不法占拠」となります。

 

以前は訴訟をして判決が出てからでないと強制執行できなかったため、不法占拠する滞納者もいました。しかし、今は手続きが簡素化され、最短2ヶ月ほどで強制執行が可能となっています。

 

強制執行の際は、裁判所の執行官のほか、カギの専門業者や荷物を運び出す業者がやって来ます。それでも抵抗するようであれば、警察官が呼ばれます。

また、強制執行の際、荷物の運び出しや鍵の交換にかかった費用は元の持ち主に請求されます。

 

不法占拠はムダな労力とお金がかかるだけなので、退去期限までに明け渡すのが賢明です。
ただし、競売では基本的に立ち退き料が支払われないので、引っ越し費用を工面しなければなりません。

 

競売は、家の売却の中で「最悪の結末」といわれています。
住宅ローンの支払いを滞納しそうなら、競売になる前に、早めに対処するようにしてください。