任意売却のアンダーローンとオーバーローン：違いと解決策を解説

2023/07/10

任意売却を行う時点での残債の額や住宅の時価によっては、アンダーローンになる場合とオーバーローンになる場合があります。理想はアンダーローンになることですが、一般的にはオーバーローンとなる場合も少なくありません。

ここでは、アンダーローンとオーバーローンの違い、オーバーローンになった場合の解決法を解説します。

アンダーローンとオーバーローンの違い

まずは、アンダーローンとオーバーローンの意味の違いを理解しておきましょう。

アンダーローンとは、売却予定の住宅の時価がローンの残高を上回っている状態です。実際の売却価格は売買が成立してみなければ分かりませんが、理論上は、任意売却することでローンの残高を全額返済できることになります。

ある程度の売却金が手元に残れば、その後の引越し費用や当面の生活資金に充てることで、スムーズな生活再建が可能になるでしょう。

オーバーローンとは、売却予定の住宅の時価がローンの残高を下回っている状態です。アンダーローンと同様、実際の売却価格は売買が成立してみなければ分かりませんが、理論上は、任意売却しても残債が残ることとなります。

基本的に残債が減免されることはないので、債務者は引き続き残債を解消するまで返済を続けることになります。

任意売却を予定している住宅がアンダーローンかオーバーローンかを事前に調べるためには、ローン残高と住宅の時価を確認する必要があります。それぞれの確認方法を見てみましょう。

ローンを返済中の金融機関の個人ページ、金融機関の窓口、残高証明書などでローンの残高を確認できます。確認の仕方が分からなければ、直接金融機関に問い合わせてみてください。

不動産会社に問い合わせれば、机上査定という方法により、住宅の時価を簡易的に査定してもらえます。より詳しい時価を知りたい場合には、不動産会社に訪問査定を依頼しましょう。

なお、査定価格は不動産会社により異なることがあるため、複数の不動産会社に査定を依頼して比較してみるようおすすめします。

ローンの返済が困難な状況の中、ローン残高と住宅の時価を比較してオーバーローンとなる可能性が高い場合には、以下のいずれかの方法により解決を試みることになります。

何らかの方法で、残債を返済するためのお金を工面します。

預貯金の中の余裕資金を取り崩して返済に回せれば理想ですが、たとえ預貯金があっても余裕資金がない方も多いでしょう。その場合には、親や兄弟姉妹、親しい知人などへお金を借りられるかどうか相談してみてください。

対象物件の各種条件にもよりますが、一般的な住宅の場合、任意売却後の残債は驚くような高額にならないこともあります。月々少しずつ返済することを約束すれば、資金を提供してくれる方もいるのではないでしょうか。

一括返済ではなく分割返済にしてもらえるよう、債権者に相談します。任意売却をサポートしてもらった不動産会社や弁護士等の協力も得て、現実的に可能な返済計画を立ててもらえるよう債権者にお願いしましょう。

任意売却を行った方は、それ以前の住宅ローン滞納の段階で、信用情報機関に金融事故情報が掲載されます。いわゆるブラックリストに載るという状況です。

ブラックリストに載っている間は銀行などから融資を受けられないため、残債返済のための借り換えはできません。

また、「ブラックリストに載っていても融資してくれる消費者金融がある」と言われることもありますが、この情報は正しくありません。融資してもらえる可能性はゼロではありませんが、基本的に、大手消費者金融はもとより中小消費者金融も融資してくれないと考えましょう。

アンダーローンとオーバーローンの意味や違い、アンダーローンかオーバーローンかを調べる方法、任意売却でオーバーローンになった場合の解決方法についてご紹介しました。

任意売却に際し、アンダーローンとなれば何ら問題ありません。しかし実際には、オーバーローンとなる例も多くあります。オーバーローンの状態で任意売却すれば残債が残るため、任意売却後は残債の返済をしなければなりません。

ただし、任意売却をせずにローンの滞納を続けた場合、住宅は競売にかけられて任意売却より不利な状況となる可能性があります。そのため、たとえ残債が残ったとしても、一般的には競売より任意売却を選んだほうがベターと考えられています。

オーバーローンで残債が残った場合には、個人的にお金を借りたり債権者に返済計画を見直してもらったりなどし、無理のない再スタートを図っていきましょう。