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任意売却と一般売却は具体的に何が違うの?

一般売却・任意売却・競売の違い

住宅の売却方法を大きく分けると、一般売却・任意売却・競売の3種類があります。一般売却とは住宅ローンを完済して一般市場から売却する方法、任意売却とは住宅ローン返済中に債権者から抵当権を外してもらって一般市場から売却する方法、競売とは債権者の申立てで裁判所の管理によって強制的に売却される方法です。

それぞれの売却の特徴やメリット・デメリットなどを見てみましょう。

 

一般売却とは

一般売却とは、所有者の自由意志によって一般市場から不動産を売却することを言います。転勤、転居、家族構成の変化、住み替え、事業の資金繰りなど、様々な理由で広く不動産の一般売却が行われています。

なお、住宅を売却するためには、原則として住宅ローンを完済しておく必要があります。家の売却代金で住宅ローンの残債を完済できる見通しであれば問題ありませんが、もし売却代金だけでは完済できない場合には、自己資金を追加して残債を完済した上で一般売却を行わなければなりません。

もちろん、すでに住宅ローンを払い終えている家については、何ら制約なく所有者の意思だけで売却することができます。

 一般売却のメリット

3種類の売却手法の中で最も有利な価格で売却できる

売却価格は所有者の自由意志で決定できるため、3種類の売却手法の中では最も有利な価格で売却できる可能性があります。

 

債権者や連帯保証人に迷惑をかけない

住宅ローンの返済に困って売却するわけではないので、債権者や連帯保証人などに迷惑をかけずに売却することができます。

 

売却のタイムリミットがない

特定の日時までに売却しなければならないという縛りがないので、売却価格に妥協することなく、気長に売却活動を行うことができます。

 

一般売却のデメリット

なかなか売却できないことがある

市場価格より強気の価格設定を継続した場合、なかなか買主が現れない可能性があります。

 

契約不適合責任(瑕疵担保責任)がある

売却が成立して物件を引き渡した後も、契約不適合責任があります。契約不適合責任とは、物件を引き渡した後に何らかの不備・不良が見つかった場合、売主が対応するという責任です。かつて存在した瑕疵担保責任に似た考え方です。
なお任意売却の場合、事前に買主の合意を得られれば、売主は契約不適合責任を負う必要はありません。また競売物件には契約不適合責任が適用されません。

 

残債があれば自己資金でまかなう必要がある

売却代金で住宅ローンの残債を完済できない場合には、自己資金等を補填して完済しなければ、一般売却はできません。

 

任意売却とは

任意売却とは、主に住宅ローンの返済が困難になった方が、債権者からの同意を得て一般市場から住宅を売却することを言います。

住宅を売却する際には、原則として住宅ローンを完済しておく必要がありますが、何らかの理由によって計画通りに完済できる見通しが立たなくなる方もいます。この際、債権者(金融機関など)と交渉し、抵当権を外してもらった上で一般市場から売却する行為が任意売却です。「住宅ローンの返済は苦しいが、競売や自己破産は避けたい」という方などの選択肢の一つとして、広く活用されている売却手法です。

 

任意売却のメリット

競売より高い金額で売却できる可能性がある

任意売却の場合、一般売却よりは低めの売却価格になる傾向がありますが、競売よりは高い売却価格になることが一般的です。売却価格が高ければ、その分、残債は少なくなります。

自己破産を避けることができる

債権者が任意売却に応じてくれる理由は、たとえ時間がかかったとしても住宅ローンの完済が見込めるからに他なりません。完済の見通しがある以上、競売とは異なり、債務者は自己破産を避けられる可能性が高くなるでしょう。

売却した後も同じ家に住み続けられることがある

買主に大家さんになってもらえれば、家賃を払って同じ家に住み続けられる可能性があります。任意売却でよく行われている「リースバック」という手法です。

任意売却のデメリット

信用情報に傷がつく可能性がある

住宅ローンの滞納から3ヶ月ほどが過ぎると、信用情報機関に情報が登録されると言われています。いわゆるブラックリストに載る、ということです。

もし滞納から3ヶ月以内に任意売却を成立させることができなければ、情報がブラックリストに掲載され、以後数年はクレジットカードや新規ローン契約などに制限がかかることになるでしょう。

 

利害関係者全員の同意がなければ売却できない

物件に関わる全ての利害関係者(債務者、抵当権者、共同名義人、共同債務者、連帯保証人など)の同意が得られなければ、任意売却をすることができません。

特に抵当権者については、1番抵当権者(その物件に対して最初に抵当権を設定した人)が優先的に債権を回収できるという原則があるため、後順位抵当権者(その物件に対して2番目以降に抵当権を設定した人)から任意売却を拒絶される可能性があります。

 

売却までにタイムリミットがある

一般売却とは異なり、任意売却にはタイムリミットがあります。もし競売手続きに入っていた場合には、競売入札予定日の2日前までに任意売却を完了させなければ、競売が始まります。

 

競売とは

競売とは、長期間にわたって住宅ローンの滞納が続いた方を対象に、裁判所の指示によって住宅を強制的に売却することを言います。債権者が裁判所に競売の申立てを行うことで、競売の手続きが粛々と進められます。

一般売却や任意売却との大きな違いが、売却が「強制」であること。売却に際して住宅の所有者の意思は反映されず、競売の落札者が指定した金額で強制的に住宅の売買が行われます。

競売のメリット

残債が減る

競売で得た売却代金を住宅ローンの返済に充てることになるため、その分、返済すべき残債の額が減ります。

 

売却手続きの手間を省ける

一般売却でも任意売却でも、不動産会社や債権者との様々なやり取りや手続きが必要となりますが、競売では、債務者は特に面倒な手続きが必要ありません。ほとんど手間がかからず住宅を売却することができます。

競売のデメリット

3種類の売却方法の中で最も不利な価格での売却となる

競売での落札価格は、一般売却での売却価格に比べて6〜8割程度と言われています。任意売却に比べても、競売価格は低めになることが一般的です。売却価格が低めになる分、残債は多く残ってしまいます。

ブラックリストに載る

任意売却と同様、住宅ローンの滞納が3ヶ月ほど続くと、ブラックリストに情報が登録されることがあります。

家を立ち退かなければならない

競売が成立すれば、遅かれ早かれ家を立ち退かなければなりません。任意売却における「リースバック」のようなシステムはないため、同じ家に住み続けることは基本的に難しいでしょう。

住宅ローンを滞納し続けるとどうなるのか?

督促状が届く

滞納1ヶ月目、債権者から「入金をお忘れではないですか?」等の連絡が入ります。そのまま2~3ヶ月ほど放置していると債権者から督促状が届き、「このまま滞納が続くと期限の利益が喪失します」という連絡が入ります。「期限の利益」とは、簡単に言えば、ローンを分割で払って良いという権利のこと。この権利を失うと、ローンの残債を一括で支払わなければなりません。

期限の利益を喪失する

滞納から3ヶ月を過ぎたころ、金融機関から「期限の利益が喪失しました」との通知が入ります。この通知により、債務者は住宅ローン残債の一括返済義務を負うことになります。

裁判所から競売開始決定通知書が届く

裁判所から競売開始決定通知書が届きます。債権者の申立てにより競売手続きが始まった、という内容の通知です。競売手続きの開始に伴い、裁判所の執行官や不動産鑑定士などが債務者の自宅に訪れ、現況調査が行われます。

競売入札が始まる

競売入札が行われる日時が決定したとの通知が裁判所から入り、その日時に競売入札が行われます。

強制立ち退きとなる

競売入札の落札者が決まると、当該住宅の新旧所有者が協議の上、立ち退きの交渉が行われます。双方で合意した日までに、旧所有者は家を立ち退かなければなりません。

このように、住宅ローンの滞納を放置して何もせずにいると、最終的には強制立ち退きとなります。そうとは言え、住宅ローンの返済中に無断で住宅を一般市場から売却することはできません。

住宅ローンの返済が難しい状況の中、少しでも有利な条件で家を売却したい方や、できれば売却後も立ち退かず同じ家に住み続けたい方は、早めに任意売却の相談をすることが賢明です。

競売入札が始まると、任意売却はできません。任意売却ができる期間は競売入札の2日前までです。一般売却とは異なりタイムリミットのある取引であることをよく理解の上、住宅ローン滞納に対する選択肢の一つとして、早期に任意売却を検討してみるようおすすめします。