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任意売却の条件とは?逆に利用できないケースとは?

住宅ローンの滞納から一括返済を求められる任意売却は、一般的には3~6か月程度の滞納が続いた時点で開始できる手続きです。

任意売却は債権者や連帯保証人、共有者との同意が必要で、税金滞納などで差し押さえられていないことも条件となります。

任意売却と共に、リースバック契約を結ぶことで売却後も同じ家に住み続けることが可能です。

任意売却のメリットは住宅ローン返済が楽になることや、競売より高い価格で売れる傾向があることです。

一方、デメリットとして必ず借金がゼロになるわけではないことや、連帯保証人に迷惑をかけることがあることです。

 

任意売却できる基本的な条件

任意売却は、債権者から住宅ローンの一括返済を求められた時点から開始できるとされています。

一括返済を求められる前提には住宅ローンの滞納がありますが、どの程度の期間を滞納すれば一括返済を求められるかについては、決まりがありません。

一般的には3~6か月ほどの滞納が続いた時点で、債権者から一括返済を求められることが多いようです。

 

また、債権者や連帯保証人、共有者などの同意があることや、税金滞納などにより自治体から差し押さえられていないことなども、任意売却できる基本的な条件となります。

 

任意売却できない主なケース

任意売却ができない主なケースを5つほど見てみましょう。

 

 債権者からの同意が得られていない

債権者からの同意がなければ、任意売却を行えません。

 

家を任意売却するためには抵当権を外さなければなりませんが、抵当権を外せるのは債権者です。

債権者の同意がなければ抵当権を外してもらえないので、任意売却はできません。

 

債権者の同意を得るためには、任意売却の実績が豊富な専門家に交渉してもらう必要があるでしょう。

 

連帯保証人の同意が得られていない

連帯保証人を付けた住宅ローンの場合、連帯保証人の同意を得られなければ任意売却できません。

連帯保証人の同意なく任意売却を行った場合、保証契約に反するとの理由で、任意売却後の残債に対する保証が履行されない恐れもあります。

 

共有者の同意が得られていない

家を複数の人で共有している場合、共有者全員の同意を得られなければ、任意売却を行えません。

 

住宅を購入する際、配偶者や両親などから一部を出資してもらう代わりに、家の名義を共同とする例が多く見られます。

家を共同名義にしている場合には、共有者全員の同意を得てから任意売却を行う流れとなります。

 

離婚して家を出た元・夫が共有者のままである場合にも、元・夫に連絡を取って同意を得なければなりません。

 

連帯債務者の同意が得られていない

連帯債務者の同意を得られなければ、任意売却を行えません。

夫婦や両親などで連帯債務者となる例がありますが、任意売却を行う際には、すべての連帯債務者の同意が必要です。

 

税金滞納なので住宅が差し押さえられている

税金滞納やマンションの管理費・修繕費滞納を理由に住宅を差し押さえられている場合、任意売却を行えません。

基本的に、住宅ローンの滞納以外の理由で差し押さえられている物件は、任意売却ができません。

 

差し押さえとの関係で整理すると、以下のような物件は任意売却が可能です。

 

– 住宅ローンの滞納が原因で差し押さえられている物件

– 税金・管理費・修繕費を滞納しているものの、まだ差し押さえられていない物件

 

任意売却の流れ

住宅ローンの滞納から任意売却が成立するまでの流れを見てみましょう。

 

金融機関からの督促

住宅ローンを滞納すると、すぐに金融機関から督促が入ります。

 

速やかに滞納の状態を解消すれば大きな問題にはなりませんが、複数回に滞納が続いた場合、金融機関から「期限の利益の喪失」を伝えられます。

「期限の利益」とは、簡単に言えばローンを分割で払う権利のこと。この権利を喪失するということは、すなわち住宅ローンを一括返済しなければならないことを意味します。

 

保証会社から「代位弁済通知」が届く

住宅ローンの滞納から3~6か月ほどが経ったころ、保証会社から「代位弁済通知」が届きます。

代位弁済通知とは、債務者に代わって保証会社が住宅ローンを一括返済したことを知らせる通知です。この通知が入った時点から、債権者は金融機関ではなく保証会社となります。

 

債務者は保証会社に対して立替分を一括返済しなければなりませんが、できない場合には粛々と競売の手続きが進んでいきます。

 

債権者や関係者との交渉

任意売却を実行するため、まずは債権者に抵当権を外してもらうよう交渉します。

交渉には専門知識や経験が必要となるため、債務者本人に代わって不動産会社の社員などが対応する形となるでしょう。

債権者だけではなく、連帯保証人や連帯債務者、物件の共有者などの関係者の同意を得る必要もあります。

 

なお、債権者が任意売却に同意した場合、抵当権を外すタイミングは、一般的に売主から買主へ所有権が移動する直前です。

 

不動産会社との媒介契約の締結

債権者などから任意売却の同意を得られたら、売却活動を依頼する不動産会社と媒介契約を結びます。

媒介契約は「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類ですが、任意売却では「専任媒介契約」か「専属専任媒介契約」を結ぶことが多いでしょう。

 

なお、媒介契約を締結しても、その時点で手数料が掛かるわけではありません。

不動産会社に支払う手数料は成功報酬制となっているため、任意売却が成立しなければお金は一切掛かりません。

 

売却活動

通常の不動産と同様の売却活動を行います。

内覧を希望する方もいるため、いつ見学されても良いよう屋内外を綺麗にしておきましょう。

 

なお、任意売却には「競売まで」というタイムリミットがあるため、相場に比べてやや低めの価格で売り出すことが一般的です。

売り出し価格は債権者に決定権があるため、債権者の意向も踏まえながら丁寧に話し合って価格を決める必要があるでしょう。

 

売買契約の締結

買主が見つかったら売買契約の締結に入りますが、契約を結ぶ前に、改めて債権者に契約内容を確認してもらう必要があります。

任意売却の契約に関する決定権は債権者にあるため、売主と買主の合意だけでは売買契約を結べません。

 

物件の引き渡し・決済

売主と買主で売買契約を結び、決済日・物件の引き渡し日を確定させます。

 

決済日当日に買主から売主へ売買代金が入金され次第、売主は債権者にそのまま売買代金を入金。

入金を確認した債権者は抵当権を外し、住宅の所有権が買主へと移動します。

 

アンダーローンであれば住宅ローンの返済が終了

返済すべきローンの残高が任意売却の金額より低ければ(アンダーローン)、任意売却に伴う返済のみでローンが完済されます。

逆に、返済すべきローンの残高が任意売却の金額より高ければ(オーバーローン)、その差額が残債として残ります。

 

多くの場合はオーバーローンの形となりますが、通常は債権者との交渉により現実的な返済計画が立てられるため、以後は無理なく返済できることでしょう。

 

任意売却後も家に住み続けられるリースバック

任意売却とともにリースバックという契約を締結すれば、家を売却した後もそのまま住み続けることが可能です。

今までの生活環境を変えたくない方やお子様を転校させたくない方などは、リースバックを承諾してくれる買主を探すと良いでしょう。

 

リースバックとは

リースバックとは、任意売却の買主が大家になる形で、売主が家賃を払って同じ家に住み続ける方法です。

 

投資用物件を探している買主のニーズにマッチすれば、任意売却とあわせてリースバックを契約できる可能性があるでしょう。

また、はじめからリースバックを前提として物件を購入している不動産業者に家を買取してもらえば、買主を探す必要なくスムーズにリースバック契約ができます。

 

リースバックの契約時に「買い戻し特約」を付ければ、将来、お金に余裕が出てきた時に同じ家を買い戻すことも可能です。

 

任意売却と競売の違い

任意売却と競売は、特に「手続き」と「売却価格」の点で大きく異なります。それぞれの違いを見てみましょう。

 

手続きの違い

任意売却は、債権者との交渉を前提として通常の不動産売買と同じ手続きで売却活動が行われます。

売却価格の決定権は債権者にありますが、ある程度は債務者の意向も踏まえた売却活動が可能です。

 

一方で競売は、法的な決まりにしたがって家が強制的に売却される手続きです。債務者の意向が競売価格などに反映されることは、一切ありません。

 

売却価格の違い

一般的な不動産相場に比べると、競売と任意売却の価格は低くなる傾向がありますが、競売と任意売却を比べれば、一般的には競売のほうが低くなります。

 

少しでも多くのお金を回収したい債権者にとっては、競売よりも任意売却のほうが有利です。

また、少しでも残債を減らしたい債務者にとっても、競売より任意売却のほうが有利となります。

 

残債が少しでも減れば、それだけ債権者は全額回収できる可能性も高くなるでしょう。

 

任意売却と通常売却の違い

任意売却と通常売却は、「やむを得ず」行う売却なのか「自由意思で」行う売却なのかという点で大きく異なります。

 

任意売却は「やむを得ず」行う売却

任意売却に至る背景には、住宅ローンの滞納があります。

本来であれば計画通りにローンを返済しながらその家に住み続けたいところ。しかしリストラや病気などの理由で住宅ローンを滞納せざるを得なくなり、「やむを得ず」行うのが任意売却です。

 

任意売却を行うためには、自分の意思だけではなく、債権者の同意も必要です。

 

通常売却は「自由意思で」行う売却

通常売却は、すでに住宅ローンを完済した人が自由意思で行う売却です。

新しい家を建てるために売却する人もいれば、賃貸住宅に引っ越すための資金として売却する人もいます。

すでに債権者のいない住宅なので、どのような理由であっても自由に売却可能です。

 

任意売却のメリット

住宅ローンの返済が楽になる

任意売却で住宅ローンが完済されることもありますが、仮に完済まで至らなかったとしても、残債を大きく減らすことは可能です。

仮に残債が残ったとしても、債権者との交渉により収入に見合った現実的な返済計画を立てられるため、以後の返済は楽になることでしょう。

 

競売より高い価格で売れる傾向がある

先にも触れましたが、一般的に任意売却は、競売よりも高い価格で売買が成立する傾向にあります。

少しでも高い価格で売れれば、債権者と債務者の双方にとってメリットとなります。

 

新生活に向けたコストを節約できることがある

一般的な不動産売買では、売却活動に伴う各種費用が掛かります。例えば、不動産仲介手数料や引越し代などです。

 

任意売却では、債権者の交渉次第で、これら費用の大半を売却金から充当できます。

債務者の持ち出しがほとんどなく引越しまで完了することも、決して珍しくありません。

 

リースバックなら同じ家に住み続けられる

すでに説明した通り、任意売却の際にリースバック契約を結べば、売却後も同じ家に住み続けることが可能です。

競売の場合には強制的に退去させられるため、通常、同じ家に住み続けることは困難です。

 

任意売却のデメリット

借金をゼロにできるわけではない

任意売却の売却金のみで住宅ローンを完済できるとは限りません。

残債が残れば、引き続き返済をしていく必要があります。

 

また、任意売却は住宅ローンに関する手続きとなるため、自動車ローンやカードローンなどの他の借金は、依然として残り続けることとなります。

すべての借金を消滅させるためには、任意売却後に自己破産する必要があります。

 

連帯保証人に迷惑をかけることがある

住宅ローンの滞納から任意売却に至る過程で、連帯保証人にも一括返済を求める連絡が入っています。

 

中には、「売却するくらいなら自分が代わって住宅ローンを払う」と言ってくれる連帯保証人がいるかもしれません。

しかし、払ってくれるか否かにかかわらず、連帯保証人に様々な迷惑をかけてしまうことになります。

 

タイムリミットを過ぎると競売されてしまう

任意売却にはタイムリミットがあります。

もし競売の前日までに任意売却が成立しなければ、競売によって住宅を売却することとなります。

 

住宅ローンの滞納が始まってから競売に至るまでの期間は、おおむね10~12か月程度。

早ければ6か月ほどで競売となることもあります。

 

 一定期間、ブラックリストに情報が残る

任意売却をすれば、一定期間にわたりブラックリストに情報が登録されます。

厳密に言えば、任意売却をした情報が載るのではなく、住宅ローンを滞納した情報が載ることになります。

 

ブラックリストの載る期間は、任意売却後の残債を完済するまでの期間、および完済してから5年間。

この期間は基本的に、新たなローンを組んだり、新規でクレジットカードを契約したり、既存のクレジットカードを更新したりできません。