任意売却を検討している方の中にはマンションの住宅ローン返済が難しくなり、住宅ローンの滞納以前に管理費・修繕積立金の滞納が始まっているケースも少なくありません。
管理費・修繕積立金の滞納を放置すると、管理組合から裁判所へ競売を申し立てられる可能性があるため、もし任意売却をお考えであれば、早めに適切な手順で対処しましょう。
ここでは、管理費・修繕積立金の滞納があるマンションを売却する手順や注意点について解説しています。
管理費・修繕積立金の滞納があるマンションを任意売却する手順
管理費・修繕費積立金の滞納があるマンションの任意売却は、一般的な任意売却の手順と変わりません。
ただし、金融機関だけではなくマンション管理組合にも迷惑をかけている以上、銀行と任意売却の交渉をする前に、マンション管理組合へ誠意ある行動を見せるべきでしょう。
管理費・修繕積立金の滞納があるマンションを任意売却する手順を見ていきます。
1.マンション管理組合からの督促に対して速やかに反応する
マンション管理組合から管理費・修繕積立金の支払い督促が来た場合には、必ず何らかの反応をします。決して放置しないようにしましょう。
本人の真意はさておき、マンション管理組合にとって「放置=無視」となります。督促を無視された以上、マンション管理組合は「本人に払うつもりがない」と解釈せざるを得ません。
最悪の場合、裁判所へ競売を申し立てる可能性があります。
2.マンション管理組合へ事情を説明して返済意思があることを伝える
マンション管理組合からの管理費・修繕積立金の督促に対しては、速やかに反応し「支払う意思がある」ことを伝えましょう。
あわせて、支払いたくても支払えない現状もきちんと伝えます。
同じマンションに住む住人として、マンション管理組合は事情のある方に対して一定の理解を示してくれるはずです。
少なくとも金融機関とは異なり、事情にかかわらず淡々と法的手続きを進めることはないでしょう。
3.可能な金額だけでも管理費・修繕積立金を返済する
滞納分の全額を一括払いすることは困難だったとしても、一部でも払えるのでしたら、生活に支障のない範囲で払いましょう。
一部でも払うことにより、最終的には滞納を解消する意思があることをマンション管理組合に示します。
4.不動産会社などに任意売却の相談をする
マンション管理組合に誠意ある対応を見せたものの、以後も管理費・修繕積立金の支払いや住宅ローンの返済が困難と判断したなら、不動産会社へ任意売却の相談をします。
5.任意売却する
不動産会社が債権者と交渉し、抵当権を外してもらった上で住宅の売却活動をはじめます。
任意売却により管理費・修繕積立金の滞納分はどうなるのか?
任意売却が成立したとしても、滞納していた管理費や修繕積立金が帳消しになることはありません。
そのため、任意売却を行った人には、管理費・修繕積立金の滞納分を全額支払う義務が残ります。
ただし、現実として任意売却を行った人は管理費・修繕積立金の滞納分を支払える能力がないことがほとんどです。
その場合には、任意売却で得られた売却金で管理費・修繕積立金の滞納を解消することが一般的です。
なお、売却金を管理費・修繕積立金の支払いに回された場合、その分だけ債権者への返済額が減ることになりますが、交渉により債権者は事情を了承してくれるケースが少なくありません。
管理費・修繕積立金の滞納があるマンションを任意売却する際の注意点
管理費・修繕積立金の滞納があるマンションを売却する際には、以下の3点を理解しておく必要があります。
買主が見つかりにくくなるかもしれない
任意売却する本人に管理費・修繕積立金の支払い能力がなく、かつ債権者が肩代わりしてくれない場合には、買主が管理費・修繕積立金の滞納分を支払う形になります。
買主にとっていわれのない支払いになることから、買主が見つかりにくくなるかもしれません。
買主が見つからない場合には競売となる
管理費・修繕積立金の支払いを理由に買主が見つからなければ、やがてマンションは債権者に競売を申し立てられるでしょう。
期日までに任意売却が成立しなければ、マンションは競売を通じて売却されることとなります。
一般的に競売価格は任意売却の価格より低くなる傾向がある
任意売却に比べると、競売の価格は低くなる傾向があります。そのため、競売の売却金で住宅ローンの残債を完済できる可能性は低く、引き続き返済を続けていくことが一般的です。
任意売却後も一般的に残債は残りますが、競売に比べると残債の額を圧縮できる可能性が高いため、以後の返済は競売より楽になるでしょう。
【まとめ】交渉力の高い不動産会社に相談することが大切
管理費・修繕積立金の滞納があるマンションでも、任意売却することは可能です。ただし、債権者が管理費・修繕積立金の肩代わりに応じてくれない場合には、買主探しに苦労するかもしれません。任意売却を不動産会社に依頼する場合には、実績豊富で交渉力のある不動産会社を選ぶことが大切です。