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賃借人が家賃滞納、住宅ローンが支払えない 東京都練馬区 W様

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友人の知り合いに自宅を貸すことに

離婚を機に、自宅を賃貸物件にしたW様。住宅ローンはまだ残っていましたが、一人で住むには広すぎるし、売却するにも残債が多く売るに売れない状況だったそうです。そんな時に、W様の知人から「家を借りたい人がいる」と紹介を受け、自宅を貸されたそうです。家賃は、月々の住宅ローンの支払額と同額。仲介業者を挟まず、自身で簡単な契約書を作成し、賃貸借契約を締結されました。それから数年間はなんの問題もなく、家賃の振込は続きました。

 

家賃の振込がなく、住宅ローンが支払えていない

住宅ローンの借入先の金融機関から、突然連絡が入りました。どうやら、住宅ローンの引き落としが、残高不足のために、出来なかったようです。通帳を確認すると、その月の家賃の振込がありませんでした。W様は、家賃入金用の銀行口座と住宅ローンの返済口座を同じにされており、賃借人から振込された家賃を、住宅ローンに充てられています。家賃が入ってこなければ、住宅ローンの支払いは出来ないのです。驚かれたW様は、すぐに賃借人へ連絡をされましたが、「家賃の支払を数日待ってほしい」と懇願され、しぶしぶ承諾されました。とはいえ、住宅ローンを支払う必要があるので、預貯金の中からお支払いをされました。しかし、それからは、家賃の入金が度々遅延することが続き、その都度、住宅ローンを預貯金から支払っておられました。

 

家賃督促をするも、連絡が取れない

賃借人はもともと夫婦二人と子供が二人の四人家族でしたが、どうやら離婚をしたらしく、夫が出ていき、残り三人で住んでいるようです。離婚当初は夫が養育費や家賃を支払っていたようですが、それが止まり、妻はパートに出ていましたが、その収入だけでは、生活が立ち行かなくなっていたのです。そして、ついに家賃滞納がはじまりました。仲介業者や保証会社を使っていなかった為、家賃督促は自身でやらなければなりませんが、当時、W様は他府県に住んでおられ、気軽に現地へ行くことができません。電話やメールを送ったりされますが、一向に連絡がつきません。

 

全く家賃が入ってこなくなると、W様の生活にも支障が起きます。借りているマンションの家賃を支払いながら、住宅ローンの支払いをする生活。W様の当時の収入では、住宅ローンの支払いまでは出来ません。預貯金はどんどん減っていき、底が見えてきたところで、当社へご相談に来られました。

 

簡易な賃貸借契約書

当社はまず、W様と賃借人との間で締結されている賃貸借契約を確認しました。家賃の金額や振込先、簡単な決め事のみの記載だけです。賃借人は離婚した元夫。連帯保証人が、現在住んでいる妻。これでは保証人から家賃を回収することはできません。元夫はすでに連絡先が変わっており、連絡が取れません。緊急連絡先の記載があり、妻の実家と思われる住所と電話番号が記載されていたので、電話をしてみましたが、繋がらず。日を改め、W様と現地に訪問することとしました。

 

住宅ローンの残債が、売買価格を上回る

次に、売却に関してです。すでに預貯金が尽きかけているW様に、支払いを続けていくことは不可能です。W様としてもすぐに手放したいとお考えでした。物件の簡易査定を行ったところ、残債以上の価格をつけるのは難しいとなり、任意売却を提案をし、承諾を得ました。当社はすぐに金融機関に連絡をし、任意売却の申請を行います。通常、任意売却の手続きは、住宅ローンの滞納状況にもよりますが、半年以上かかる場合もあります。早急に売却をしたいW様の要望に沿って、最短で任意売却を取り組めるように金融機関と交渉をし、手続きを進めてもらうことになりました。

 

夜逃げ同然の現場

現地にW様と訪問しましたが、敷地内は手入れがされておらず、雑草が伸び放題。ゴミも散乱している状態です。インターホンを鳴らしますが、応答がありません。郵便ポストに目を向けると、入りきらないほどの郵便物が届いており、どうやら色々なところから、督促状が届いている様子です。近隣の方に状況を確認すると、どうやらここ1カ月以上、住人を見かけていないとのことでした。嫌な予感が的中してしまったのです。これは家賃を滞納したまま、夜逃げをされています。スペアーキーをW様はお持ちでしたが、家賃滞納をしているとはいえ、賃貸中の物件に賃借人の承諾を得ずに侵入することは、犯罪とされます。このまま、引き返すわけにもいかず、緊急連絡先として記載されていた住所地へ向かいました。

住所地は、やはり妻の実家でした。実家には、高齢の父親がおられ、事情を話し、連絡を取ってもらいましたが、繋がらず。転居先を聞きましたが、父親も把握をしておりませんでした。連絡がつけば、W様に連絡をくれるとのことで、その日は事務所へ戻りました。

 

残置物の処分

それから1カ月が過ぎたころ、W様から連絡があり、賃借人である妻と連絡が取れたとの事でした。家賃の支払いをお願いされましたが、収入がなく支払うことができない、高齢の父親にも相談したが、年金生活で余裕がないと断られてとのことでした。家賃を回収する見込みがないとの判断になり、現地においてある残置物の撤去を求めましたが、すでに東北の方へ転居しているとのことで、すぐには対応が出来ないとの返答でした。W様と相談し、任意売却を優先する為に、残置物撤去をW様で行ってもらう事としました。撤去費用については、金融機関と交渉し、売買代金の中から控除することとしました。妻に残置物の所有権を放棄してもらう覚書に署名捺印をもらい、撤去を開始しました。

 

無事に任意売却が成立

残置物の撤去が完了したころ、金融機関より、任意売却の許可がおり、販売スタートです。すると、案内や問合せが多数入り、販売開始後約2週間でお申し込みが入り、無事に成約となりました。決済時には、売買代金から残置物の撤去費用を控除。残った残債については、無理のない範囲で分納されています。W様からは「賃貸借契約について、自分自身で手続きをしたことが間違いでした。やはりプロにお願いをしておけば良かった」という感想を頂いております。

 

不動産取引は、不動産会社へお願いするべきです

今回のケースでは、保証人が同居人だったのですが、同じ家計のなかで生活をしており、家賃滞納の際に、同居人から家賃回収することは難しいでしょう。現在の賃貸借契約では、保証会社などを利用し、家賃滞納に備えることが一般的です。不動産取引は複雑です。経費がかかりますが、賃貸借契約の場合でも、不動産会社へ依頼をされることをおすすめします。